日銀出身の36歳、小倉將信衆院議員 一日遅れていたら政治家になっていなかった

総務政務官を務める小倉將信議員。なぜ日銀を辞めて政治の道に進んだのか、直撃。

■政務官の仕事とは?

小倉將信

小倉さんは、前回登場の小林議員と同じく、総務政務官として内閣のメンバーでもある。どのような役割を担っているのだろう。

小倉:私は地方行財政と消防が担当です。よく言われているように、地方自治体は税収の面では国の2/3の規模ですが、一方で自治体は医療介護や教育、街づくりからごみの収集に至るまで地域に密着したサービスを行っていますから、支出は国の1.5倍あります。


そうした中で、自治体の収支ギャップを埋めて、全国どこにいても安心して住民サービスを受けられるような財源確保を行っています。また、「地方消滅」などと言われることもありますが、人口減少や高齢化が進む地方の活性化の役割を担っています。


ただし、実際に地方に行ってみると、高齢化が進んでいても、地域の人々は昔からの知恵や地の利、集落の絆などを活かしながら、元気に豊かに生活を送っているという印象を持っています。


近年、人気が拡がっているふるさと納税も担当だが、「足による投票」のひとつとして期待を寄せる。

小倉:「ふるさと納税」をやっている方も多いと思いますが、過剰な返礼品が取り上げられることもありますが、返礼品だけでなく政策で共感を得ている自治体もあります。


たとえば、東京の文京区は、「ひとり親家庭に食事を届けるサービス」を打ち出して、返礼品なしで年間8000万円を集めています。こうした政策の中身を評価するふるさと納税が増えることで、自治体が行政の質や納税者の納得感を競う時代になればと思います。


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■エビデンスに基づいた政策を

小倉將信

小倉議員が今後取り組みたいテーマについて聞いてみると、「EBPM」という耳慣れないキーワードが飛び出した。

小倉:これまで政治は、「勘と経験と思い込み」と考えられていました。しかし、財政制約が強まっていく中でより効果的な政策が求められます。そこで、政策と目標の因果関係を根拠で示しながら政策を実施する「EBPM(Evidence Based Policy Making)」を進めたいと考えています。


「本を読む子供は勉強ができる」というデータがあったとして、「本を読むから勉強ができるようになる」のか、「そもそも本を読めるくらい根気があるから勉強もできる」のか。


後者であれば、学力向上を図るために子供たちに本を読ませるという政策は決して効果的なものではありません。データはいくらでもある時代ですが、重要なのは因果関係を立証する質の高いデータなんです。


EBPMの考え方は、欧米ではかなり進んでいる国もあるという。

小倉:海外では、英国のブレア政権や米国のオバマ大統領のときに、エビデンスを評価する体制とエビデンスに基づく政策に予算を重点化する体制の整備が進められました。


日本ではまだまだですが、本来日本人はきちんと記録をとって議論する几帳面な国民性があります。たとえば、現在の統計局にあたる統計院がつくられたのは、1881年。


明治維新からわずか13年後に、大隈重信がデータに基づき政策を実施する必要性を説いたのです。明治の元勲のそうした熱意に想いを致しながら、私もEBPMをライフワークにしていきたいと考えています。


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■オフの過ごし方は?

小倉將信

衆議院議員と政務官、あまりにも忙しそうな小倉議員だが、オフはどのように過ごしているか聞いてみたところ…

小倉:昨年夏からは、議員に加えて総務省の大臣政務官の仕事も加わったので、さらに忙しくなりました。ちょっとでも時間があったら体を休めたり、また勉強をしないと議論についていけないので、1週間に2、3冊くらい本を読んでいます。


空いた時間はできるかぎり、総務省の職員と食事や飲み会をするようにしています。 プライベートはほとんどありません。ただ、そうだとしてもやり甲斐がある仕事なので、むしろ今与えられている職責を全うしたいと考えています。

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

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