越後杜氏の故郷で元禄からの歴史を守る『頚城酒造』 地元と連携した農業プロジェクトも
よく知られる越後杜氏の中でも「越後三大杜氏」のひとつが頸城杜氏。
■地元をよく知り未来を応援
じつは今、「柿崎がおもしろい!」とUターン、Iターン者率が多いのだという。
「柿崎って映画館もデパートもゲームセンターもない。商店街も寂れてきている。都会の便利さに慣れていると閉塞的に感じるかもしれない。でも柿崎には海も山も川も里もある。私も東京より戻った時は生活しにくいとよく思っていたものです。
でも月日が過ぎ、地元の農家の方々と関わりが密になるにつれ、柿崎の豊かさがわかった。天然の水に土壌、気候風土は非常に恵まれた贅沢な場所なのだと。この環境の良さを地元、そして子供達に知ってもらいたいと思ったのも事実です」
■名水農醸プロジェクトが発足
柿崎の魅力を発信する一環として「柿崎名水農醸プロジェクト」が2012年に発足。「柿崎を食べる会」と協働し、柿崎の土壌、水、育てた酒米を使った『和希水』という商品が生まれた。
「酒米の田植えも、プロジェクトメンバーを中心に志に共感してもらった酒販店や飲食店の方々が手伝ってくれます。この活動を始めて6年。最近は地元の子供たちも参加するようになり、土いじりの楽しさやご飯はどうやってできるのかを知ってもらえるように。
泥んこになりながら目をキラキラさせる子供たちを見ると、柿崎の未来が少し明るく感じるのです。やはり地元を好きになってもらわないと、故郷がなくなってしまうでしょう。
次世代の子供が都会に憧れるのもいい。でも故郷も魅力いっぱいなのだということを覚えてもらうこと。これも地元の造り酒屋としての役目のひとつだと。
そして将来、自分たちが育んだ田んぼで育った酒米で造った酒を飲んでもらって、『うまい!』といってもらいたい。それが夢ですね」