飲んでにこにこ「えびす顔」になる『福顔』 三条市唯一の酒蔵で超軟水を活かして
「いからし」と読む五十嵐川の伏流水は県内でも指折りの超軟水だ。
■五十嵐川伏流水で仕込む
福顔になってほしいと願いを込めた代表銘柄 そんな話を聞いては、是非とも恵比寿様の福顔にあやかりたいもの。して、その味わいやいかに。
「米の旨みのふくよかな香り、飽きのこない奥ゆかしい旨み。ほのかな甘みと柔らかな酸味が醸し出すハーモニーが絶妙です」との説明。なんとも飲んべえ心をくすぐられるではないか。
そんな味わいは何に由来するのかと問うと、小林社長は答えた。
「仕込み水でしょうね。清涼感のある柔らかくさらりとした味わいは、五十嵐川の伏流水に負うところが大きい。うちの酒は五十嵐川の水と、五十嵐川が育む米で造っています」
■超軟水を造りに活かす
ここに水を供給している浄水場は、五十嵐川の伏流水が水源。取水される原水の水質が良いことから、緩速濾過といわれる方法で浄化されているそう。
緩速濾過とは薬品を使わずに、細かい砂の濾過層にゆっくりと原水を活かす方法で、自然水に極めて近い水とのことだ。
しかもこの五十嵐川の水は県内でもトップクラスの超軟水。昔は、発酵力が弱い軟水では、思うような酒造りができなかったといわれる。
この超軟水と向き合い、辛抱強く努力を重ねた末に、仕込み水として酒造りに上手く生かすことができたからこそ、福顔酒造は今日までこの地で生き残れたのであろう。
事実、3年連続で全国新酒鑑評会において金賞を受賞するなど、その造りはますます磨きがかかっている。