次期蔵元が手がける新ブランド『K』シリーズが快走 江戸時代から続く千代の光酒造
2011年に実家に戻った次期蔵元による新商品もヒット。
■新シリーズ『K』の挑戦
千代の光酒造には2015年、新ブランドが誕生した。銘柄名は『KENICHIRO』で通称『K』シリーズ、斬新なラベル文字が目を引く。 手がけるのは池田社長の長男で、8代目を継ぐべく修業中の常務取締役・池田剣一郞さんだ。
大学卒業後、東京でサラリーマン生活をしていたが、2011年、実家に戻ってきた。そして現場に入り酒造りに没頭する中から、「自分のお酒を造りたい」という思いがふつふつと芽生えたという。
蔵の基本路線であるやや甘口を守りつつ、新しい味わいを開拓したいと獅子奮迅。かくして契約栽培した五百万石を50%まで磨いて仕込んだ『純米吟醸KENICHIRO』が誕生し、「越後謙信SAKEまつり」でのデビューとなった。
以来、毎年ブラッシュアップを重ねている。使用米を五百万石から越淡麗に変えた『K 壱度火入れ』、遠心分離機を使って搾った『K 遠心分離 にごり酒 瓶火入れ』。
仕込みの麹使用率を3割に上げて甘みと酸味を表現した『K 三割麹』、2017年秋には『K 14%原酒』と、次々に新しい試みにチャレンジしている。
次期蔵元としての研鑽にも意欲的で、2017年に東京で開催された新潟マッドマックス「EGGs-新潟 若き蔵元の挑戦-」にも参加。新潟の若手蔵元が何を考え、どんな酒を造っているのかを披露した。
■究極のこだわりで生み出される個性豊かな商品
豪雪地帯ならではの環境を生かした製品もある。 例えば『千代の光 越淡麗 雪室熟成酒』。越淡麗を使い、手塩にかけて醸し上げた原酒を雪室で熟成させたもの。爽やかなさらりとした口当たりながら、深い味わい。
雪室貯蔵では『千代の光 遠心にごり 雪中貯蔵酒』もある。こちらは、五百万石をじっくり発酵させた生酒で、上槽には遠心分離機を使用。
また、遠心分離機使用の『千代の光 淡月』は、薄にごりで柔らかい味わい。遠心力を利用して酒粕と酒に分離するという上槽システムを10年以上も前にスタートさせて、『淡月』シリーズを中心に使用してきた。
遠心分離機は、ステンレス製なので酒袋の匂いが酒に移る心配がない。また密閉空間で上槽されるため、酒本来の香りを保持できる利点があるといわれる。 遠心力で分離された微粒子が漂い、口当たりのまろやかさが楽しめる。
その他にも、この蔵ならではのこだわりの酒のひとつが、『もち純米』。新潟産のもち米・こがねもちを使った純米酒で、ふくよかで豊かな甘みがあり、まろやかな飲み心地。しかし、もち米は粘りが強いので製造は困難。
もち米の王様といわれる高価なこがねもちを使い、しかも麹米は山田錦というからとても贅沢なお酒だ。
以下は蔵元お勧めのお酒。