次期蔵元が手がける新ブランド『K』シリーズが快走 江戸時代から続く千代の光酒造

2011年に実家に戻った次期蔵元による新商品もヒット。

千代の光

四季折々に美しく趣を変える頸城連峰に見守られて、銘酒『千代の光』は育まれてきた。ここは夏は涼しいが、冬ともなれば日本有数の豪雪地だ。


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■雪が育てるすっと消えていくような喉越し

 「藏が雪で覆われる最高の環境で酒造りができます。ただし道路の雪かきは容易じゃありません。作業用のフォークリフトで除雪しています」と、代表取締役の7代目当主・池田哲郎さんはご当地事情を披露する。

「日本海に近いから湿った雪が降り、屋根への加重は相当なもの。でもかまくら状態になるので、蔵の中は気温が一定で酒造りには最高の条件です」と、池田社長の舌はなめらか。

蔵があるのは妙高市。JR信越本線の新井駅より車で10分ほどの山あいに建っている。江戸時代末期の万延元年に創業した。近くを清流・矢代川が流れ、その伏流水が仕込み水となる。

「江戸時代から枯れたことのない井戸水源は、裏の大毛無山(おおけなしやま)の豪雪の賜物です」と、ここでも社長は雪への感謝を忘れない。

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■夢は日本酒蔵のドメーヌ化

千代の光

こうした恵まれた自然環境のほかに、名酒となる要因はもう一つある。酒造米へのこだわりだ。

「会社の周りの田んぼで越淡麗を作って、そのコメで酒造りをするのが理想なんです。ワイナリーがブドウ畑に囲まれてあるように」


池田社長は日本酒蔵のドメーヌ化を夢に描いていた。かつては欲しい品種のコメがどんどん入手困難になり、自社栽培を試みたという。

「でもコメはコメ作りのプロに頼むほうがいいんですよ。このあたりは魚沼と同じレベルのコメができるんです。いい品質のコメが使えるのはありがたいことです」


池田社長は地元吉川区の栽培家と契約して山田錦も育てている。その田んぼに適した農法でてきたコメは、独自の風合いの酒になるという。

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■新シリーズ『K』の挑戦