同性愛に不妊治療 『隣の家族は青く見える』で学ぶ差別と偏見の発生源
「不妊治療は自然じゃない」頭のカタい親の偏見は「心配」の裏返し?
8日、深田恭子(35)が主演するドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)の第4話が放送された。
メインテーマである不妊治療や登場人物らが織りなす人間模様がひとつの山場をむかえ、差別や偏見に直面して苦しむ登場人物の動向に注目が集まっている。
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■不妊治療や同性愛に対する偏見噴出
深田演じる主人公・五十嵐奈々と、松山ケンイチ(32)演じる五十嵐大器夫妻が、4世帯が協同で物件を建てて入居する「コーポラティブハウス」で暮らしながら、妊活に取り組むという内容の本作。
第4話では、不妊治療の方法をより高度なものにしようと望む奈々と、「コーポラティブハウス」で暮らす男性同士の同性愛カップルの前に「偏見」という冷たい壁が立ちはだかる。
■偏見があるのが世間というもの?
第1話から第3話までの間に奈々が取り組んでいた不妊治療は「タイミング法」と呼ばれるもの。医師から性交渉のタイミングを指導されるこの方法は「比較的自然な方法」と捉える人も少なくないようだ。
一般的に、「タイミング法」で妊娠に至らない場合は「人工受精」、「体外受精」とステップアップしてゆくが「受精までの過程に人の手が加わっているから自然ではない」という偏見を持たれがちなのが現実だ。
劇中でも、同窓会で上京した奈々の母親(原日出子)は「不妊治療のステップアップ」を望む娘の意向に真っ向から反対。
「うちの子は体外受精で生まれました、て人に言える? じゃあもし、いじめられたらどうする。もし生まれた子が自然に生まれたんじゃないことを理由に、いじめられたらどうする?」
いじめるほうがおかしく、それは偏見だ、と言い返す奈々に、
「偏見があるのが世の中ってものなの」
と母親は畳み掛ける。
■同性愛カップル「わたさく」に魔の手が
そんな頃、「コーポラティブハウス」にはもう1組「偏見」に悩まされているカップルがいた。同性愛者であることを隠して暮らしている建築士の広瀬渉(眞島秀和)と、恋人の青木朔(北村匠海)だ。
恋人同士であることを隠し、「甥っ子と叔父」という設定で同居していた2人が、第4話で誹謗中傷の標的となる。
コーポラティブハウスの玄関に「建築士広瀬渉は同性愛者」「ゲイカップルの家」と書かれた紙が貼り付けられ、渉の職場にも送りつけられたのだ。
取り乱す渉に奈々は、
「知らないから怖いんじゃないんでしょうか? 知ってしまえばなんてことないことを、知らないから敬遠するってこともあるんじゃないでしょうか」
と声をかけるが、渉は、
「本音を言えばほっといてほしいんですよ。別に受け入れてくれなくていいから、そっとしといてくれと」
と肩を落とす。
■区別が差別になるのは「知ってから」?
両親ともに教師の家庭で育ち「カタい考え方」に慣れている渉は、同性愛者であると公表することに抵抗がある。取り乱す渉に対し、自身のセクシャリティをオープンにしている朔は、余裕の表情で受け流す。
幼い頃からカミングアウト済みで、かつてからかわれたこともある朔は、偏見に慣れている様子。「からかうのは差別だ」という渉に、からかう側の立場にも立った言葉を投げかける。
「差別じゃないよ。誰だって小さい頃は自分と違うものは排除しようとするでしょ。それって当たり前なんだよ。まだ、自分と他人は違う、って認識ができてないんだから。だから、差別じゃなくて区別なんだよ(中略)世の中のほとんどの人がゲイって存在を自分とは関係ないファンタジーか何かだと思ってる」
「冷静な大人の男の渉」と「子供っぽい美少年の朔」という関係性が逆転し、年下の恋人が魅力的な包容力を見せたシーンだ。