名杜氏の薫陶を得て蔵元杜氏デビューの『宝山』 業種を超え仲間を巻き込み日本酒を楽しむ

酒米を一切使用せず、食用米として知られるコシヒカリを全量使っての酒造りも。

■日本酒に縁のない人も巻き込んで

宝山

20代に制限して集まってきた仲間は、酒造りはもちろん、販売、米作り、ラベルデザインまで、可能なところはできるだけ協力しあって造り上げた。

「友人や仕事関係ほか、酒造りには縁のないような人たちもたくさん参加してくれて、一緒に田植えや稲刈り、仕込みもしてくれました。


20代だけだし、コシヒカリの60%精米だし、どうなるか、と不安もなかったわけではないですが、 ですが、みんなとにかく一生懸命やってくれて、その過程が楽しいことばかり。


大変なことも悩むことも多かったけれど、それも含めて楽しめたというか、やりがいがありました。そして、これが思いのほか美味しくできたんですよ。即、完売です」


そして、今期、間もなく30代への階段を上がる宝山20代コンビは、2期目にして最後の『二才の醸』を完成させた。それは、次の『二才の醸』に挑戦する20代コンビへのバトンでもある。


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■コシヒカリだけで酒をつくる

宝山

5代目になる桂太さんは、銘柄譲渡という責任あるお酒の原材料に、リスキーとも思える飯米のコシヒカリで臨んだ。

じつは、コシヒカリで造る日本酒こそが、今となっては『宝山』を語るときに欠かせないひとつの柱でありカラー。コシヒカリで造るからこそ、『宝山』の『二才の醸』となるからだった。

現在社長の4代目渡邉誠志さんも、引退した青柳長市杜氏もまだ若かった20年ほど前のこと。4代目が友人とコシヒカリのご飯を食べながら、「これでお酒を造ったら、美味しいのかな」、と聞かれたのだという。

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■「コシヒカリを麹米に」という挑戦