消費者や時代に柔軟に対応 日本酒ファンを増やした『上善如水』の開発秘話

水のように飲みやすく、女性にも喜ばれる『上善如水』。その開発秘話を聞いた。

■日本酒業界の異端児だった

白瀧酒造

一方、当時の日本酒業界や日本酒好きからは「何をやっているんだ?」と言われたことも多々あったそうだ。

「軽やかさ、飲み口の良さは今日では常識ですが当時は先取り過ぎたようですね(笑)。まずそんな味わいを造る蔵もほとんどなかったし、『売れるはずがない!』と言われていました。うちは日本酒の異端児だったのでしょう。


しかし、お客様のニーズに合っていたので売れた。そこに他蔵よりもうちが先に気づいたというわけです。昔ながら伝統にとらわれたり、前例がないと二の足を踏んでいたりしたら、見過ごしていたかもしれませんね。売れるヒントは、目の前の消費者が持っていたのです」


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■全員で意見を出しあう、月1回の企画ミーティング

白瀧酒造

市場に新たなるスタンダードとなった『上善如水』。日本酒初心者のための入門酒となり28年。常に若者の好みや趣向を研究し、マーケットを開拓し続けてきたそうだ。

「既存商品で満足するだけではダメ。常に次なる一手を模索すること。そのひとつが月に1回の企画ミーティングです」


ミーティングに参加するのは高橋社長をはじめ、杜氏にボトリング担当、デザイナーに営業、研究職など各セクションの精鋭たち。

男女年齢も若手からベテランまで揃い、各々が感じる思いを役職や年齢関係なく積極的に意見を出し合う。

「会議で”沈黙”はない。会議は各々の考えているものを持ち寄る場。みんな勉強熱心で、意見が出ないということはありません」という高橋社長。

「製造部は造りの現場にいるものの、『世の中でどういった商品が市場にウケているのか』という情報が、どうしても手薄になってしまう。だから、市場の生きた情報を教えてくれる営業部と話し合える企画会議は、すごくありがたい機会です」という松本宣機杜氏。

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