身の丈にあった造りで醸された『天神囃子』 新潟・魚沼から未来へ繋がる酒蔵の姿
新潟・妻有で地元の米にこだわる魚沼酒造を取材。
■酒王国・新潟の酒蔵は晩酌用の酒が決め手
無駄なお金をかけず原料と造りに全てを注ぐ。その頑固なまでのこだわりが地元に愛され、コアな酒好きが魚沼酒造を応援している理由なのかもしれない。
「晩酌クラスの酒をうまいと思ってもらわなくてはいけない。高い酒がいいのは当たり前。みんなが毎日飲めるような酒の品質を上げることが需要拡大につながる。そのために一番簡単なのは、原料に金をかけること。うちは普通酒でも、精米は吟醸クラスまで磨きます。
なぜ新潟が酒王国といわれているかわかりますか? それはどの蔵も普通酒のレベルが他県とは一段階違う。普通酒も上質に造るのが新潟です。
だからこそ日本酒人口がまだまだ多いといわれるのでしょう。身の丈にあった造りをきちんとこなす。それが日本酒の未来を確かなものにします」
そんなこだわりで醸し出し、良質でありながらリーズナブルな酒が地元で多く愛飲されるのも当たり前のことなのだろう。
蔵元が薦めるお酒を紹介しよう
①『天神囃子 大吟醸』
越淡麗を100%使った大吟醸。精米を39%と徹底的に磨きながらも米本来の味を損ねず、米のうまさをきちんと感じさせる飲み口。
口中に広がるフルーティな香りは飲み飽きせず、すっきりとした後口。どんな料理も陰で支える世話女房のような存在。