センサーは蔵元自らの手 小さい蔵には効率のいい昔ながらの製法で造る『越後美人』

創業210余年ながら、さまざまな紆余曲折を乗り越えてきた小さな蔵元。

■どうするから美味しいのか

越後美人

現在も精米歩合50%の純米酒を造っているが、純米大吟醸とは呼ばず、純米吟醸としている。先代杜氏の元で働いていた頃から疑問があり、そもそもなぜ純米吟醸は美味しいのか、と精米歩合の方向から考えてみた。

そして65%から試し、1年に1回精米歩合を5%ずつ減らしてみたところ、50%が美味しいと思われた。そこで止めているのだという。

「特定名称酒と普通酒が半々ですし、小さい蔵なので何本も吟醸酒を仕込むわけにいきませんから、時間をかけて試してみたんです。ここ10年ほどは50%。ここがいいかな、と思っています」


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■創業210余年の紆余曲折

創業は文化元年。1804年というから、210余年の歴史を持つ酒蔵だ。しかし第二次世界大戦中に廃業させられ、戦後、数社一体となれば復活することが許された際に、3社が集まってできた上越酒造。

銘柄を決める際、地元に入り込むのはもう難しく、首都圏に買い手を求めるしかない状況だったことから、東京の酒販店さんに出向いた先代が、帰路、電車に揺られながら思いついたという。新潟の地酒をアピールする名前、ということから『越後美人』となった。

ところがそれから数年、他の2社が手を引くと言い出し、飯野さんが全てを引き受けることとなる。

「それなら、愛着のある自分の蔵の銘柄を復活させたい。『若竹』という名前だったんですが、これを、優秀賞を取った大吟醸につけたんです」

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■古式を大切に今様を探る、心込めた酒造り