障害も「唯一無二の特性」 東ちづるが舞台『月夜のからくりハウス』にかける思いとは

「まぜこぜの社会」をめざす一般社団法人『Get in touch』が、「見世物小屋のドキドキ感」をコンセプトに届けるエンターテイメント。

インタビュー現場の会議室に伺うと、彼女はすっと名刺を差し出してくれた。女優、東ちづる。一般的に芸能人は名刺を持たないが、東は表現・創作活動を通じて共生社会の実現をめざす一般社団法人『Get in touch』の理事長も務める。

「名刺のイラストと受け取った人とが、手がつながるようなデザインなんです」と笑う。音楽やアート、表現は、違いを乗り越えて人をつなぐことができる、というメッセージだ。


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■『Get in touch』創設から6年

東ちづる

東が『Get in touch』を立ち上げたのは、東日本大震災後の2011年。翌年には、社団法人として体制を整えた。

当初から、「支える・支えられる」という支援の形ではなく、エンターテイメントを活動の軸にしていたため、ハレーションも大きかったという。

東:2011年の12月、赤坂で自閉症スペクトラムの啓発イベントを行いました。このメンバーで初めてのイベントです。障害のある作家の作品の展覧会を開催して売上を被災地の障害者施設に寄付したり、オノ・ヨーコさんにもゲストで来ていただいたり。


その時も「障害者を食い物にするのか!」というような批判がありました。実績を積み重ねてきたことで、ハレーションは少なくなってきたものの、いつもありますね。

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■「シンポジウム」では拡がらない

こうした啓発イベントは、専門家を招いた講演やシンポジウムといったスタイルのほうが一般的だ。しかし、それだけでは情報や共感の拡がりに限界があるという。

東:シンポジウムを聞きに来る方は、そのテーマの当事者や関係者など、すでに意識が高い人が多いんです。その外側の、本当に知ってほしい人たちには、なかなか伝わりません。私たちが、アートやエンタメを中心に置いて活動しているのは、まだ興味を持っていない人を巻き込むためには、そうしたコンテンツの力が有効だからです。


実際、Get in touchが自閉症イベントを行なったときは、自閉症協会のサイトにアクセスが集まりすぎて、つながりづらくなったそうです。

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■団体設立の頃から温めていた舞台