丸山ゴンザレスがジャーナリストを名乗るまで 「暗黒時代を救った出会い」とは
『クレイジージャーニー』で注目の危険地帯ジャーナリスト、丸山ゴンザレス氏による渾身のコラム。
2017/10/17 11:30
■日雇いバイトやブラック企業で
大学院の後期課程に進まなかったことで、完全に研究者としての道を閉ざすことになってしまい、しばらくは行き場がなくなってウロウロしていた。
ようやく仕事を見つけたと思ったらブラック企業だったり、日雇いバイトで船橋とか銀座とか新宿とかたまプラーザとかでイベント会場を設営&撤去したり、床張り工事、解体工事なんかの現場作業をしていた。
給与は、1件あたり5,000円。1日1万円を稼ぐこともできず、将来への不安を感じるかどうかという以前に、その日暮らしという感じで過ごすことは、正直、地獄だった。
財布の中身はいつもほとんど空っぽで、小銭を数えているだけで、満足に飯も食えないこともあった。今となっては、底辺の生活を経験できたのかな、と前向きに肯定できるけれど、当時は生きることに限界を感じていた。
■暗黒時代を救った出会い
そんな苦境を見かねた大学の恩師のひとりが「働きなさい」と、都内にある測量会社に押し込んでくれた。
普通の測量会社だったが、遺跡などの測量をする部門もあるとのことで専門知識が活かせるかなと思ったのだが……。
そこで何があったのかは後ほど述べるとして、勤め先となった会社の斜め前には出版社があった。そこに私の大学の時の同級生が勤めていて、私が朝からガチャガチャと測量の機材を片付けていた時のこと、そいつがやって来て、「お前、何やってんの?」と、久々に再会を果たした。
彼とは同級生の気さくな関係もあり、そのまま飲みに行って、彼の同僚の編集長も同席することになった。今思えば、これが運命の分かれ目だった。