「生きるか死ぬかでやることにした」 坂本龍一が語る音楽への情熱とは
デジタルガレージ「ファーストペンギンアワード2017」を坂本龍一が受賞。ピアノ演奏も生披露。
■昔は『若い芽を摘む会』
そもそも「ファーストペンギン」とは、氷の上から一番最初に飛び込むペンキン…つまり失敗するリスクをいとわず新たなことに挑戦する精神を持った人ということ。
いち早くインターネットを取り入れたことや、復興支援、後進の育成などの功績がたたえられての受賞となった。
受賞の感想を聞かれた坂本は、
「若い頃は『若い芽を摘む会』を1人でやっていたくらいで。今は『自分の頭で考えろ、大人の言うことを信じるな』って言ってますけどね。
森林保全やオーケストラなど、時間のかかることを気がついたらやっていたんです。今回の受賞をしっかり受け止めて、これからも冒険精神を忘れないで進んで行きたい」
と笑顔に。
■命がけの仕事
イベントの中で坂本は、『美貌の青空』、映画『The Sheltring Sky』のテーマ曲、『Merry Christmas Mr. Lawrence』の3曲を生演奏。
トーク時のゆったりした雰囲気から一変。空調も止められた無音の中に響くピアノの音に、取材陣も思わずじっと聴き入ってしまうほど。
「今まででいちばん挑戦したこと」を聞かれた坂本は、驚きのエピソードを。
なんと、映画『レヴァナント』の音楽、実は中咽頭癌の療養中に監督から話が来たという。
「まだ回復していなくて、ちょっと難しい…と言ったのだが、明日LAに来い! と(笑)
これをやったら癌が再発するのでは? と、それは死ぬ覚悟で。文字通り、『生きるか死ぬか』でやることにしました。もともと僕が大好きな監督で、その彼がアカデミー賞の次に撮る映画に呼んでくれた。
世界中の作曲家がやりたい仕事ですよね。向こうからやってくれって言ってるんだから、やったほうがいいんだけれど、自分の命と引き換え…それは相当悩みましたね」
■新しいものを見たい
さらに、仕事をするときの思いについて、坂本はこう語る。
「僕はね、常に『まだ自分から出てきてない新しいもの』が出てくることを望んでやっている。今までやってきたこと、自分にできることをやれるのは当たり前ですよね。自分でできていないことを今日、今、見たい。
長く仕事していれば、新しいことが出てくるのは難しい。自分のテクニックは自分がよく知ってるし。でも、まだなんかあるんじゃないかと思って、苦労して…今までやったことがない音楽、アイデアが出てきたときは非常に嬉しくて。それが嬉しいから続けていられる。
それが僕にとっては生きるってことだから、世界で最高に力のある監督と一緒に仕事ができるなら、そこで終わっても本望。いつもそういう精神でやってるんです」
これからも、まだまだ私たちが聴いたことのない音楽を、世界を見せてくれそうだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・たつきあつこ)
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