もう20年前!ポケモンの原点「赤・緑」が発売された年はこんな特撮が

こんにちは、モノブライトのベース、出口です。

11月18日に発売されたニンテンドー3DS用ソフト「ポケットモンスター サン・ムーン」が、発売日からの3日間で、190万本以上(ダウンロード版の本数は除く)を記録しました。

それにあわせて、発売週(11月14日〜20日)の本体の販売台数ニンテンドー3DS LL、Newニンテンドー3DS、Newニンテンドー3DS LL、ニンテンドー2DSを含む週間販売台数は11万3987台と、前週の29981台の約4倍を記録し、ハードの牽引にも貢献する人気ぶりを見せています。

今や海外でも「ポケモン」は共通語となっているほどの大人気の作品。

シリーズの第1作目『ポケットモンスター 赤・緑』がリリースされたのはちょうど20年前の1996年で、今作「サン・ムーン」は、ポケモンシリーズ20周年となる記念すべき作品です。

特撮の歴史において1990年代は、作品のテーマや描かれ方が今日の作品に影響を与えるものが頻出する転換期になります。

今回は、ポケモンが産声をあげた1996年の特撮を振り返ってみたいと思います。


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■光の巨人、復活

1996年といえば「アムラー」「プリクラ」が「ヘソ出しルック」などの新しい若者文化が世間を巻き込んで一大ムーブメントになっていた時代。

この年に特撮ファン待望の出来事があります。それが、ウルトラマンシリーズ最新作「ウルトラマンティガ」の放送開始です。

(画像出典:Amazon)
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ウルトラマンのテレビシリーズは1980年に放送されたウルトラマン80の終了から16年の沈黙があり、この放送はまさに待望のウルトラシリーズの復活。そして、今日までシリーズを存続させる原動力となる作品なのです。

ウルトラ兄弟(他の作品への客演)やウルトラの星といったこれまでのシリーズではいわばお約束となっていた設定をすべて一新し、ウルトラマンを「光」として神に近い存在で描きながら善と悪を説いています。

現在では特撮作品にアイドルが出演するのは珍しくありませんが、それはティガでジャニーズ事務所所属のV6・長野博さんの主演がきっかけでしょう。

1990年代の特徴の特撮は平和を守る、という意味がもう一段階掘り下げて描かれているため、ヒーローが戦う意味も多様化していくのが特徴です。

わかりやすく言うと、平和=広い意味で平穏な日々、だったのが、平和=個人の自由(未来)、になっています。

バブル崩壊後、個人のライフスタイルや価値観が大きく変わるタイミングと、90年代特撮ヒーローが戦う理由が多様化していくのは、じつはリンクしてるのです。

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■既存のヒーローのイメージを裏切る、新しいヒーロー

ヒーローの戦う理由が多様化することは、今までのヒーローらしくない理由で戦うヒーローも現れる、ということになります。

そのヒーローは、超光戦士シャンゼリオンと激走戦隊カーレンジャー。

(画像出典:Amazon)
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偶然シャンゼリオンになってしまった主人公・涼村暁。偶発的にヒーローになるパターンは多く見られますが、涼村暁が特徴的なのは「めちゃくちゃ性格がヒドい」一点です。

多額の借金を抱え、怪人には「ヒーローらしくない!」と叱責されヒーローマニュアルを渡され(しかも、こんな恥ずかしいことできるか!と一喝する)、ここでは書けない言葉で罵倒する、などなど。

おおよそヒーローと言える素質がひとつも感じられない主人公に、ヒーローとは一体なんなのか?と逆説的にヒーローたるものを問われるような作風です。

勧善懲悪に当てはまらない、と言うか、主人公が史上最悪なので善と悪の価値観の崩壊が起こりますが、頑張って最終回まで見てください。

背筋がゾッとして鳥肌が止まらなくなるラストが待っています。「こんな終わらせ方、あるんかい!」と声を出してしまうでしょう。


(画像出典:Amazon)
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もうひとつ、スーパー戦隊史上最大の「キワモノ」とされている激走戦隊カーレンジャー。

ヒーローらしからぬ言動、もはや大人向けのインパクトあるギャグが連発される非常に賑やかな作品で、主人公たちは自動車会社「ペガサス」の従業員。

働きながら戦うヒーローはこれまでも存在しますが、彼らは「お金が足りない」「給料が安い」など、直接的なことをたびたび口にします。

その上、戦闘の流れでそれぞれの月収を赤裸々に公表してしまうおまけつき。最安は17万8千円、最高額は21万円。

ヒーローの戦いの本質は滅私奉公精神です。一銭にもならない場合がほとんどであり、金銭を要求するなんてもっての他。

しかし、ヒーローも(もしくは敵も)ひとりの人間だ、という90年代あたりから生まれるヒーロー像は、基本的に個人の生活があり、その上でヒーローとしての使命を背負うパターンになります。

個人の考え、価値観を持つことは、他人とどのように関わりあうのか、という議題も内包されています。

奇しくも、特撮作品では変化球とされるシャンゼリオン、カーレンジャーが同じ1996年に制作され、90年代から00年代にかけて構築されていく新しいヒーロー像を端的に体現していると思うのです。

もうそろそろ、この両作品の評価が変化球ではなく、「重要作品」となる日が来ることを願います。


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■Back To 1996

1996年は、まだ仮面ライダーシリーズは復活しておらず、メタルヒーローシリーズ「ビーファイターカブト」や、徒手空拳で戦う「七星闘神ガイファード」などが放送され、映画では「とんねるず」が出演し話題となったウルトラマンゼアスが制作されるなど、意欲的な作品が多いのも1996年の特徴です。

テレビ特撮が本格的な復権を果たすのが2000年なのですが、1996年はまさに革命前夜の時期にあたります。過去と未来が高純度で混ざり合う独特な空気。

咲き乱れた時代の徒花は、短い期間ながら強烈に人々の記憶に焼き付いているのです。

1996年を思い出すと、懐かしさよりも「白昼夢」のような印象を受けますが、きっとこれは、パラダイムシフトの瞬間だったから、なのかもしれません。

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(文/モノブライト・出口博之

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Sirabee編集部

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