日本人が細いのは寿司のおかげ?ロンドンの寿司事情を調査
2016/11/30 19:00
■スーパーマーケットでは
英国王室御用達スーパー「ウェイトローズ」の惣菜コーナーには、「太鼓」という名の寿司シリーズが並んでいる。見る限り普通の寿司が並ぶが、フルーツ寿司にはびっくりさせられる。
イギリスはライスプディングというデザートがポピュラーなので、米はお菓子にも使える食品というイメージ。フルーツとの掛け合わせにも抵抗がないのだろう。
■チェーン店が多い
街に目を向けると寿司チェーン店が非常に多く、地下鉄のどこの駅を降りても必ず店舗が目に入るレベル。
またその種類もたくさんあり、広く日本料理を扱う「わさび」「You Me Sushi」、ヘルシーをうたう「ITSU(いつ)」、回る寿司「YO! Sushi」などのチェーン店がある。
いずれも共通して「健康」を売りにしていて、日本人としては違和感を覚える。現地人曰く、魚と米は肉と小麦よりヘルシーと感じるらしい。また「フォー」が味噌汁と並んで販売されている店舗が多い。
それぞれにカラーがあり、「わさび」では寿司に加えて弁当を販売していて、「You Me Sushi」は丼物や餃子も取り揃える。「ITSU」は毎日閉店30分前になると半額セールを行う。
ここまではひとりでも入りやすい店なのに対し、「YO! Sushi」は家族向け。テーブル席の脇を寿司が通過していく。
■食べてみると…
百聞は一食に如かず、実際に食べてみた。今回記者が入ったのは健康色が最も強い「ITSU」。和室風の照明や障子を模した壁のある内装だが、レジはバリバリのファストフード店だ。
陳列されている握りのパックを選び、レジで温かいメニューを注文する。握りはマグロの赤身とサーモンとエビのみ、巻き寿司はアボカドが多く見受けられた。
ホットメニューはチキンスープと混ぜご飯を選択。注文を受けると調理済みパッケージをレンジでチンして出している様子だ。
握りにはわさびがしっかり入っている。見た目は完璧に握り寿司だが、米はタイ米のような細長さで、舌触りに違和感を覚える。しかし鼻に抜ける酢と醤油とわさびの香りで、寿司と認識させられる。
チキンスープは中に春雨が入っていた。味も良く汁物としては満足だが、これを日本食と言うには謎が残る。混ぜご飯はパクチーとグリンピースが満載。パクチーが入るともはや日本食ではない。
とはいえ味としては悪くないし、店舗によっては夜11時まで営業しているので、夜遅くなって食事に困ったときには心強い存在。
また朝食メニューもあり手軽な価格で丼が食べられる。とはいえ、ヘルシーフードかどうかは食べてみてもよくわからなかった。
■独自の姿を築く「SUSHI」
今回ご紹介したいずれの寿司店でも、巻き寿司には海苔の代わりにゴマをまぶしているものが多いのも欧風寿司の特徴だ。これは欧米人の体質では海苔を消化できないことから生まれた工夫と言えよう。
知人への聞き込みも含めて、世界では寿司が完全にヘルシーフードだと思われていることが判明した。寿司のおかげで日本人は細い、と勘違いしている人もいる。
現地人に「本当の寿司は高級で、お祝いなど特別なときに食べるものだ」と言ったら非常に驚かれた。
本来の姿ではないと言え寿司が多くの人に好かれていることは事実。日本でもスパゲッティやラーメンなど本国での姿とは異なる形で市民権を得た食品は多い。
寿司をきっかけに日本に興味を持ってもらえるならば、ありがたい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・原田真帆)
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