「校閲」とは一味違う 困惑とトホホ笑い渦巻く伝説の「校正」

(Stepan_Bormotov/iStock/Thinkstock)
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石原さとみ主演のドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)で、広く知られるようになった「校閲」というお仕事。

(画像は日本テレビ公式サイトのスクリーンショット)
(画像は日本テレビ公式サイトのスクリーンショット)

本や雑誌の世界では、その道のプロフェッショナルの担当者が、正しい文章の番人として活躍する中、同じような印刷物でも広告の世界では、少しばかり状況が異なる。

主にクライアント担当者が修正指示を入れる「校正」では、ときに制作や印刷会社の担当者が、どうしていいのかわからなくなるコメントが書き込まれ、それが「伝説」の域にまで達することもある。


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■校閲と校正の違い

文章や図版・写真などが、正しく掲載されるように、指示を書き込むという点では「校閲」も「校正」も、大きな枠組みで見ると作業上の違いはない。

ここで理解してほしいのは、校閲がプロの手でその媒体や原稿の特性は考慮しつつ、一定以上の水準で、ブレることなく修正指示がされるのに対し、校正の場合は、確認作業を行う人の立場や主観、“大人の事情”などが入ることが多いということだ。

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■言いたいことは、わかる

「ペースとって」


担当のおじいさんには、人が「ここはスペースとって」と言っていたのが「ペースとって」に聞こえていたらしい。


「オレンジ100%で」


担当者は「ジュースじゃない」と呟きながら、そっと「Y100M60」と書き添えた。


カラー印刷の色指定は、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(黒・Bkブラック)の掛け合わせを記載する。それぞれの色をパーセンテージで指示するが、「オレンジ」という指定色はない。そっと書き添えたあたりが、切なさを誘う。


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■誰か通訳を

「シュッとしたフォントに変更」


アシスタント:「シュッとしたフォントってどんなんで?」
デザイナー:「新ゴUDにでもしとけ、細いヤツな」
アシスタント:「了解!」


しかし、その後しばらくして

「親しみのあるフォントに変更」


アシスタント:「親しみのあるフォントって?」
デザイナー:「そんじゃ、××ゴシックにでもしとけ。ダサめのヤツな」
アシスタント:「了解!」


「ダサめのヤツ」で、OKが出たらしい。


「写真変更 ファイル名:abcdef01.mp4」

それ、動画ファイルです。印刷するの普通紙なんで、再生できません。。。


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■そして伝説に

「○巻 000ページのように、肉汁あふれる感じで」


スーパーのチラシの色校正で、たくさんの食品写真に入れられた指定は、人気グルメマンガの巻数とページ数。

しかも延々と、“この描写が、いかに美味しそうか”ってマンガの解説を書かれても…。しかも写真はカラーなのに、マンガはモノクロだし、意味わかんない。


「みんなが北海道に行きたくなるように、してください」


北海道の旅行パンフレットに書き込まれた、写真への指定。いや、それ、そういう写真を撮影して、入稿してくれないと…。指示を書いてほしいんであって、願望を書かれても…困る。


ここまでくると、手も足も出ない。ただなんとなく、探り探り「こんな感じっすか?」と、やるしかない世界。

書籍や雑誌の世界では、校閲の指示のもと整然と直しが進められる一方、広告制作の世界では、今日もどこかで、デザイナーや印刷会社の担当者たちが、こんな校正指示に頭をひねり、困惑と闘っているのだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ

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Sirabee編集部

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