女子が言う「可愛すぎて食べられない」は本当なの?サンリオで検証
2016/11/15 17:30
サンリオでは常設店を含め、多くのコラボカフェを展開している。
その中でもキャラクターモチーフのメニューはとても可愛く、評判が高い。実際、ポムポムプリンカフェなどに行けばこのような女子の姿を多数確認できる。
①メニューを開き、「全部可愛い~!」「決められな~い!」と言う
②実際に注文したものが出てくると「可愛い~!」と言って写真をパシャパシャ撮る
③「可愛すぎて食べられない~!」と言う
ひとりで店に行くため周りを観察する時間に恵まれた記者からすると、「そう言わなければ呪いにかかるのか…?」とでも思ってしまうほどよく見る光景だ。
しかし、とあるときにふと思ったのだ。女子たちが言う「可愛すぎて食べられない~!」は果たして本音なのだろうかと。気になったので、調査を行なってみることにした。
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■罪悪感を感じながら食べてみる
女子たちに聞き込み調査を行なう前に、時間があったので記者も再度キャラクターメニューを食べてみることにした。
今回の食事のテーマはもちろん「罪悪感」。女子たちが言う言葉を参考に、その立場に立って食べるわけだ。
記者はかなり感受性の低い人間であり、今まで「可愛すぎて食べられない~! プンプン!」と思ったこともないので、25歳にして初めての感情を体験することになる。
ピューロランド内『館のレストラン』で注文したのは、クリスマス限定メニューの『プリンとマフィンちゃんのシューケーキ』(800円)。
ポムポムプリンの主人公、プリンくんとマフィンちゃんの顔がモチーフになった一品だ。
食べようとすると、プリンのつぶらな瞳がこちらを見てくる……。たしかに、これは「可愛すぎて食べられない~!」という気持ちもわからなくもない。
今まで出てきて10秒以内には手をつけていたので気付かなかったが、Instagramに投稿したりしている間に愛着が湧き、こんな気持ちになっていくのか。
「ならば目線が合わないところから食べよう」と考えたが、マフィンちゃんは後ろにも顔が。いつから二面相なキャラになったのか不明だが、これでは不可能だ。
見つめ合うプリンくんと記者。「お前は今、どんな気持ちなんだ?」「どっから食べるのが一番ラクに旅立てる方法なんだ?」と聞いても、当然ながら返事はない。
むしろ、つぶらな瞳で見つめ返してくるばかりである。
斜め45度から見ても、なぜか視線が合ったように感じてしまうのは、まるでモナリザを眺めているかのよう。ポムポムを見て、深遠な気分になったのは初めてだ。
なお、ひとりでパシャパシャ写真を撮っていたため、周囲のお客さんがかなり不審な目でこちらを見ていた。
こういうあやしい人は今の時代、高確率でライターかブロガーなので、気にせず食事するようにしてほしい。決して変態などではないので、そこの小さな女の子も訝しげに見るのはやめてほしい。
頭の中でずっと「可愛すぎて食べられない~!(キャピキャピ)」という女子たちの台詞を反芻していたせいか、なんだか本当に食べるのが心苦しくなってきてしまった。
どんな言葉を投げかけても反応がないプリンくんの気持ちを察しようと、彼の目線になって見てみたら、「ぼくがさいごに見た景色」という感じで余計に苦しい。
しかも、それが「なぜかピューロランドで体操をしている変なおじさん」というところが、諸行無常感をより加速させる。
仕方ないので、本体部分以外から食べることにした。
しかし、少しずつ食べ進めると……
なんだかプリンくんを崖の上に追いやっているような感じに。普通に食べるより、よっぽどサディスティックな仕打ちをしているような気分になってきた。
今にも崩れそうな足元の中、遠いところを見つめるプリンはもはや「虚無虚無プリン」。人生の物悲しさを体現したキャラになってしまっている。
サンリオもプリンくんも大好きな身としては、非常に辛い。
崖が崩れても、なんとか踏ん張るプリンくん。「虚ろな目をしているのに、なんだこの強靭な足腰は……」と思ったそこの人、写真左奥を注目してほしい。
じつは、プリンを支えているのはマフィンちゃんなのだ。自分の身を紙皿の外に投げ出すまでして、プリンくんを守ろうとするマフィン。
しかも、そこにはさり気なく「テコの原理」が使用されている。長い棒を使うと、自分よりも大きなものを持ち上げられるとか言う、理科の授業で習ったあれだ。
おぬし、いつからそんな抜け目のないキャラになったのだ……。ふたりの友情に、なんだか目頭が熱くなってきた。
マフィンがそこまでして、プリンの「プリンとしての姿」を守ろうとしている。崖から落ちて、形が崩れることから必死にかばっている。
それなのに、食べないのはどうだ? 自分は罪悪感とか言って食べるのを躊躇してきたが、はっきり言ってそんなもの、余計な気遣いだったのではないか?
30分間かけてたどり着いた境地。記者は、弱い自分の屍を踏み越えて、大粒の涙を流しながらプリンを食したのであった……。
閉店間際の店内で、泣きながらプリンのプリンを食べる根暗な成人男性……その姿は、紛れもなく完全なる変態であった。
■本題:女子たちは本当に「可愛すぎて食べられない~!」と思っているのか?
なんだか記者の体験レポが長くなってしまったが、ここからが本題。例の台詞を発している女子たちは、果たして本当にそう思っているのだろうか?
もし本音だったなら、毎回こんな辛い気持ちでキャラクターメニューを食しているわけで、自ら進んで辛い経験をしている神経は到底理解できない。
いや、むしろそういう過酷な経験をしているがゆえに、彼女たちはあんなに強くなっているのだろうか……? サンリオ好きな女子って、もっと女の子っぽくてメルヘンでか弱い感じじゃなかったのか?
ポムポムプリン好きな渡辺麻友が、総選挙で指原莉乃に何度負けても頑張れる原動力はそこにあるんですか、秋元先生……(涙)
以下は、記者の周りのサンリオ好き女子たちに聞いた結果である。
「可愛くて食べられなーい!って一応言うけどすぐ食べるな(笑) 『可愛すぎて食べれない』ってのはうそだと思う(笑)
私もプリンカフェとかいって顔つきのご飯食べるけど、写真撮ったらもう供養完了みたいな感じかな(笑) すぐ食べるし、むしろ罪悪感すら感じてないのかも知れない。
マフィンなんてなんかに刺されてるけど微動だにしてないし。強いな。キャラクターも楽じゃないね」(18歳)
「出てきたときは可愛すぎるから写真いっぱい撮って目に焼き付けといて、よし食べよって思ったらなんのためらいもなく味を噛み締めて食べまーす」(18歳)
「むしろ、可愛いから目から食べる。可愛いからこそ痛めつけたい」(24歳)
「写真撮って可愛いって騒いで顔避けて端から食べ始めて、後半で食べる。残すことはなくて、どんな状況下でも完食する」(24歳)
「写真撮ってる間だけ騒いで、満足したら普通にひとつのスイーツとしてモグモグ」(24歳)
「男の人の前で言う『可愛くて食べられない』発言は、間違いなくぶりっ子してるわ。私自身を振り返っても、周りの女子をみても。
ただし、女の人ってバイキングでも元を取れるように食べたり、少しでもコスパが良くて美味しい食べ物を探す努力をしている人が多いじゃん?
『これだけの芸術品を作った作業時間を考えると、勿体無くて(可愛くて)食べられない(手間かかってんだろうな、ま、バクバク食うけどね)』みたいな感じで、『もったいない精神』から、そういう発言をすることもあるかもしれない」(27歳)
結果、女子たちが言う「可愛すぎて食べられない~!(アゲアゲ)」というのは、女子を演じたのと、作り手への感謝を含む「もったいない精神」から来ているようだ。
話を聞いた女子13人がみな同じような回答だったので、まず間違いないと見ていいだろう。
サンリオのコラボカフェで女子とデートする機会があったときは、男子諸君は温かい目で見守ることにしよう。女子は男子が思う以上に、冷静さの中でひとまず女子を演じているのだ。
なお、サンリオピューロランドでは現在、クリスマスショーが開催中。男子が行っても楽しいので、記者のように大いに楽しんでほしい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・岡本拓)
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