主婦の7割が「豊洲市場の食品」に不安 移転前からイメージ崩壊
発がん性物質のベンゼンなどに高濃度に汚染されていた豊洲新市場の土壌。その汚染対策として、実施されているはずの「盛り土」が行われていなかった問題が波紋を拡げている。
27日には、都の市場長が都議会・経済港湾委員会で謝罪した。東京都のガバナンスと情報公開には、課題が山積みだ。
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■「食の安全・安心」にこだわる日本人
日本では、「食べ物の安全・安心」がきわめて重要視されてきた。
さまざまな事業者を巻き込んだ賞味期限切れや産地偽装の問題、「中国毒ギョウザ事件」や狂牛病、鳥インフルエンザなど、大きく報じられた食関連のニュースは少なくない。
「たかが食べ物のことで…」「このくらいなら…」といった意識は、こと日本においては少数派だ。これは、結果的に食のクオリティを高めてきたはずだ。
では、問題が報じられる豊洲新市場に対して、世間はどのような印象を覚えているのだろうか? しらべぇ編集部は、全国20〜60代の男女1365名に調査を実施した。
■全体の6割が「豊洲市場の食品」に不安
全体では58.7%が「豊洲新市場で扱われる食品に不安」と回答。食にまつわるテーマゆえか、女性の不安率はより高く、6割を超えている。
■自営業・専業主婦はとくに不安
職業別でもっとも不安を感じているのは、自営業者。専業主婦がほぼ同率で続き、こうした人々は7割が豊洲新市場を信用していないことがわかる。
一方で、もっとも不安率が低かったのは公務員で、全職種中で唯一5割を下回った。会社員がそれに続く。
とはいえ、市場移転のような公共事業を進める立場である公務員でも、4割以上が豊洲新市場の食品には不安を覚えているのが興味深い。
■女性と中高年男性の不安が目立つ
性・年代別では、40〜60代の女性と5、60代男性で不安を覚える割合が6割を超えた。5、60代女性においては7割以上が不安と回答。
家庭の台所を預かる主婦の7割、全体でも6割が信用していない豊洲新市場。イメージは、開業を前にしてすでに地に堕ちている。難解な説明によって壊れたイメージを覆すのは、容易ではない。
小池都知事は豊洲移転の延期を発表したが、安全性の検証や確認もさることながら、ここまで不安が高まると移転した業者が売上の激減に悩まされる可能性も少なくない。
今後も不透明なガバナンスが続き、またさらなる問題が明らかになれば、80年をかけて築地が積み上げてきた食のブランドも大きく損なわれることになるだろう。
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(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年9月23日~2016年9月26日
対象:全国20代~60代男女1,365名(有効回答数)
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