民進党・蓮舫議員「二重国籍」問題の違法性は? 弁護士に聞いてみると…
レイ法律事務所に所属する高橋知典弁護士に話を聞いた。
2016/09/08 18:30
民進党の代表選に立候補している蓮舫参院議員の「国籍」にまつわるニュースが、一部メディアを賑わせている。蓮舫議員は、6日、高松市内で記者会見し、
・1985年1月1日に改正された国籍法の施行にともない、1月21日に日本国籍を取得
・あわせて台湾籍の放棄を宣言
・未成年(17歳)だったため、父とともに東京にある「台北駐日経済文化代表処」に行って放棄の手続きをした
・31年前のことで確認に時間がかかっており、今回あらためて代表処に対して国籍放棄の書類を提出した
…といった状況を明らかにした。こうした説明に法的な問題点はあるのだろうか。しらべぇコラムニストで、レイ法律事務所に所属する高橋知典弁護士に話を聞いた。
■「国籍はひとつ」が国籍法の理念
高橋弁護士:日本の国籍法上、国籍は一定の時期までに、ひとつにすることが望まれています。
具体的に現行の国籍法は、1985年1月1日以後(改正国籍法の施行後)に重国籍となった日本国民の場合には、
①20歳に達する以前に重国籍となった場合には22歳に達するまで
②20歳に達した後に重国籍となった場合には重国籍となった時から2年以内
には、日本国籍を選んで外国の国籍を離脱するむね宣言するかどうか、選ぶように規律しています。国籍法は二重国籍であることを解消することが望ましいと考えていると言えます。
■重国籍の解消に罰則はない
高橋弁護士:国籍法は、重国籍の解消をしようとしていますが、一方で、重国籍を解消しない場合における罰則等はありません。
国籍法は、まず「日本国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言」を行うように定めています。
しかし、その人が、外国の国籍を放棄する旨の宣言を実行するかどうかについては、「(当該)選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない」とし、あくまで離脱するように努力をするようにとしか定めていません。
すなわち国籍法は、「日本国籍を選んで、外国の国籍を捨てるとさえ言ってくれれば、その後外国国籍を本当に捨てるかどうかについては、基本的に本人の努力に任せます。」としているのです。
この理由については、そもそも外国国籍を放棄できない国があり、本人の力だけでは、重国籍を解消できないことがあるので、「離脱は仕方ないけど、離脱するように努力をしてください。」と定めているのです。
■公職選挙法上の罰則もないが…
高橋弁護士:公職選挙法上、重国籍であることを理由とする罰則等もありません。
あくまで選挙に出るためには、日本国民であることが必要であるだけであり、重国籍であったとしても、選挙権に影響を与えるわけではないのです
今回の重国籍の問題には、現実的に罰則や、公職選挙法上の問題は生じ難いことがいえます。このため、よく聞く汚職、脱税、男女トラブルの問題のようなはっきりとした違法の問題とは状況が違うとはいえるでしょう。
しかし、国籍をふたつ持っているということは、ふたつの国の国民であるということ。
このため、極端な例ではありますが、「日本の総理大臣が、いつか中華民国総統になりうる」という事態を生じる可能性を持っています。
こと国家の意思決定を担う政治家を、望んでいないとはいえ重国籍の人が担うことの意味は、よくよく話し合われるべきものと言えるかもしれません。
だからこそ、蓮舫さんには、この点の説明や対応が求められているのでしょう。
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(取材・文/Sirabee編集部 取材協力/レイ法律事務所・高橋知典弁護士)