【名優】渥美清の「言葉」の影響力をアカデミー賞俳優が語る
2016/08/05 19:00
日本アカデミー賞新人男優賞の受賞経験がある俳優/ハイパーメディアフリーターの黒田勇樹です。『学校3』は、すごくいい映画なので、ぜひご覧ください。
このコラムは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、さまざまな「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べる「妄想的」な語源しらべぇです。
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■「寅さん」から生まれた疑問
『学校3』でお世話になった日本の大監督である山田洋次監督。その代表作は『男はつらいよ』、通称「寅さん」です。
今年の8月4日は寅さんを演じられた渥美清さんの没後20年ということでさまざまな追悼企画があるようですが、筆者が注目したのは「演じる」という字。
「寅さん」の「寅」が入ってるんです! 創作物なので偶然とは言い切れませんが、なぜ、この「寅」という字に水を表すさんずいで「演」なのかを考察してみました。
■動物の「トラ」が影響?
ジャングルの生き物というイメージが強い、動物の「トラ」が非常に泳ぎの得意な生き物ということはご存知でしょうか? ネコ科の動物は水を恐れることが多いのですが、トラはガンガン川や海に入っていきます。
みずにトラ、つまりこの「ネコ科の動物が嘘のようにスイスイ泳ぐ様子」が転じて、「演じる」になったのではないでしょうか? トラといえば、インド。インドといえばガンジス河。
大体、あらゆるもののルーツはインド人なので、ガンジスを泳ぐタイガーを見たインド人がこの字を考案したとすれば、すべて辻褄が合います。
仮説を証明するため、さまざまな文献を確認しましたが残念ながらそのような記述は認められませんでした。果たして寅さんになにか関わりがあるのかと調べ進めたところ、正解に辿り着きました。
■やっぱり寅さんはスゴイ!
正解は、寅という字自体に、手をのばして表す様子という意味があり、そこに水の広がるイメージを合わせて、わかりやすくあらわすという意味の「演」になったということ。
「寅さん」は、冬の季語にも認められるほど認知されていることですし、「渥美さんが見事に泣いている様子」の方が由来っぽくて面白いけどなー。誰に提案していいかわかりませんが今から変えてみません?
と、いうのは冗談ですが、ちょっと納得してしまいそうなほど伝説の名優ということでしょう。偉大なる先輩、渥美清さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
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(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)
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