夏の水難事故を防ぐ 注目の浮遊器具『Kingii』とは
2016/07/29 05:30
夏はどうしても、水難事故が相次いでしまう。
小学生が海や川で流され、命を落とすという悲劇が毎年起こっている。また、溺れた子を助けるために立ち上がった大人が、そのまま帰らぬ人になってしまうことも。そうした事故を防ぐために一番手っ取り早いのは、救命具の装備。
だが、我々が知っているライフジャケットは非常にかさばる。また、見た目にもスマートとは言えない。
それでも自治体はライフジャケット着用を呼びかけるPR活動を積極的に実施。たとえば和歌山海上保安部は、和歌山市内にある徳川吉宗像にライフジャケットを着せている。
水の事故は、非常に深刻な問題だ。
画像をもっと見る
■腕時計型浮遊器具
『Kingii』がテクノロジーメディアに登場したのは、ちょうど去年の今頃。水難事故を防ぐ画期的なアイテムとして、大いに注目された。だが、1年経った今でもこの商品の一般的な知名度はあまりない。
これは腕時計型で、ライフジャケットのようにかさばることはない。溺れそうになった時、手動でKingii内蔵のCO2シリンダーを作動させ、エアバッグのように浮袋を膨らませる仕組みだ。
浮袋が開くのにかかる時間はわずか数秒。124kg以上の人を浮かせる実験にも成功しているという。
■日本でも購入可能
この商品が市場に登場してから1年。その間に、日本での購入が容易になった。
Amazonで検索してみると、予備のCO2シリンダーとともに売られている。わざわざ海外のショッピングサイトにアクセスしなければならないわけではなく、誰でも手軽に購入できるのだ。
ただし、この『Kingii』は「救命器具」ではない。あくまでも非常事態に対応するための道具であり、本格的な器具であるライフジャケットの代用になるものではないという。
海釣りなど、ある程度沖に出るマリンスポーツの場合は従来型のライフジャケットを着用するべきだ。
■日本の川の恐ろしさ
日本で起こる「水難事故」は、海よりも川で起こる事故が多い。
これは我が国が山岳国であるということが関連している。たとえば東南アジアを流れるメコン川は幅が広く、その流れも非常に緩やか。だが日本の川はいずれも急な流れで、水流が複雑だ。
自治体や海上保安庁が毎年この時期にライフジャケット着用を呼びかけているのは、そうした地形的特徴があるからだ。日本の川は、非常に恐ろしい場所でもある。
夏休みはこれからだが、水の事故は何としても防がなければならない。
・合わせて読みたい→夏は水難事故に注意! 危険度MAX「死のプール」が怖すぎる
(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
・合わせて読みたい→夏は水難事故に注意!危険度MAX「死のプール」が怖すぎる