日本でも無人バスが走行開始 「公道進出」の第一歩となるか
2016/07/10 05:30
自動運転車の安全性が疑問視されている今、日本でドライバーフリーのバスの本格運用が始まる。
こうした新テクノロジーの実用化にはアメリカに遅れがちだと思われている日本。だが、将来有望な技術に期待を寄せる企業は我が国にもたくさんあるのだ。
今回、大手IT企業DeNAが千葉県内のショッピングモールにて、日本初の自動運転バスを運行する。
■デビューの舞台はイオンモール
首都圏有数の巨大商業施設であるイオンモール幕張新都心。DeNAの自動運転バス『ロボットシャトル』は、このイオンモールの隣にある豊砂公園で営業を始める。
この豊砂公園は広大な緑地で、しばしば野外イベントが催されるような場所。ここを周回するバスだから、実用的な意味はさほどない。だが、自動運転バスの安全性を立証する場としては、絶好のロケーションではないか。
現時点でやるべきことは、自動運転バスに対する市民からの信頼獲得である。テスラモーターズのオートパイロットシステム搭載車の事故は、日本でも大きく報道された。もちろんこの事故とロボットシャトルとの技術的関連性はまったくないが、それでも「自動運転は時期尚早だ」と感じている人もいるはず。
まずは一般市民へ、自動運転の安全性をアピールしなければならないという背景がある。
■厳しい現行法
また、現時点でドライバーフリーの車両は公道を走行できない。
道路交通法改正に向けた作業のひとつとして、「私有地で試験運用する」というプロセスがある。それを積み重ね、安全性にさらなる改良を重ねた上でようやく公道走行試験の許可を申請するのだ。
豊砂公園での試験運行が順調ならば、次はショッピングモールの駐車場内での運行を目指すという。このようにして、公道走行への階段を一歩ずつ上っていく。
■重大な一歩
ロボットシャトルの最高時速は40km。だが、実際の運行ではあくまでも低速走行に留まる。
しかしいずれにせよ、これは日本の自動車史に重大な1ページを刻む出来事だ。もはや、運転手のいない車は夢物語でなくなったことが証明された。
「憧れた未来」が、現実になりつつある。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
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