誰が一番ハマリ役?歴代の大河ドラマの「豊臣秀吉」を考察
2016/07/06 05:30
大河ドラマの配役は、じつは日本国民最大の関心事かもしれない。
日本史上極めて有名な人物を誰が演じるかにより、そのドラマ自体の評価が大きく変わってしまう。たとえば、ビジュアル的に大きな特徴が求められる豊臣秀吉の配役は、いつも視聴者から注目される。
今年の大河ドラマ『真田丸』で、秀吉を演じているのは小日向文世。ネットユーザーからも「秀吉っぽい」と評判を集めているが、歴代の大河ドラマを見ると、秀吉の人物像に対する解釈は非常に多様だ。
■「猿」の解釈
秀吉といえば「猿」という要素。だがどの辺を猿に似せるかについては、作品ごとに差異がある。
例えば、『天地人』で秀吉を演じた笹野高史の場合は、動きがまさに猿だ。笹野秀吉の「活躍」は第1話、しかもその冒頭から見ることができるが、椅子に腰掛けながらも猿のような動きを披露。
また『功名が辻』で柄本明が演じた秀吉は、いかにも「百姓上がりの田舎者」な泥臭いビジュアルだった。視聴者に強烈なインパクトを与え、柄本にとっても「ハマリ役」だったたことは間違いない。
■秀吉といえば…
だが「大河の秀吉」といえば、やはり竹中直人だろう。竹中は主演と助演の両方、つまり2作品で秀吉役を果たしている。
竹中秀吉は特に猿顔というわけではなく、むしろ溌剌とした凛々しい姿。だが彼は、現代のサラリーマンに共通するかのような懸命さと多大なエネルギーを持ち合わせてる。それが視聴者の心を鷲掴みにしたのだ。
ちなみに竹中秀吉は、パチスロ機にもなっている。それだけ「秀吉=竹中直人」というイメージが世間に定着したということだ。
■歴代最も威厳に満ちた秀吉
一方で、「猿顔」も「泥臭さ」も一切無視した秀吉もいる。
それは『独眼竜政宗』に出演した勝新太郎だ。勝秀吉のビジュアルはあまりに絶大な威厳に満ち溢れ、しかもしゃべる方言は名古屋訛りではなく上方訛り。「太閤」ではなく「組長」といったような雰囲気である。
だがその中で、作中には秀吉に関するコミカルな場面も見られた。たとえば秀吉が眼鏡をかけ、扇子に書かれた文字を一生懸命復唱。この時の秀吉は唐入りを実行している最中で、自分がいつ大陸の皇帝になってもいいように唐言葉を勉強していたのだ。
しかもその勉強していた言葉というのが、
「茶持ってこい、酒持ってこい、飯持ってこい」
と、生活に必要不可欠なもの。明国と朝鮮を必ず征服してやるという自信、そして前線の芳しくない状況を理解できない呑気さをじつによく表している。
歴代大河ドラマの豊臣秀吉を簡単に紹介したが、そこには各俳優の個性がよく反映されている。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
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