ASEAN諸国で発生のテロ事件 それぞれの「共通点」とは
2016/07/04 05:30
バングラデシュの首都ダッカで発生したテロで、7名の邦人が犠牲になってしまった。
この7名はいずれもJICAのメンバーで、バングラデシュのインフラ整備のために日本から派遣されたエンジニア。アジア最貧国のひとつであるバングラデシュ発展のため、これから尽力しようとしていた人々だ。
それにしてもこのテロ事件は、今年1月に発生したインドネシア・ジャカルタでの事件と非常に酷似している。特に発生現場のロケーションに注目すると、このふたつの事件には大きな共通点がある。
画像をもっと見る
■現場は高級飲食店
今回のダッカでのテロは、『ホーリー・アルティザン・ベーカリー』という飲食店で発生した。
この店は「外国人が多く集まる場所」と各メディアで紹介されているが、逆に言えば「現地市民はあまり利用しない場所」。それはすなわち、現地市民にとってこの店のメニューは大変高価であるという意味だ。
ASEAN諸国は、日本よりも遥かに貧富の格差が激しい。コーヒーを飲むにしても、喫茶店では1杯200円だが屋台では1杯15円という値段の差だ。日本人からしてみれば200円のコーヒーは大した値ではないが、月100ドル程度の最低賃金で生活している現地市民にとっては超高級品である。
だからこそ、こうした飲食店の利用客は外国人ばかり。テロリストはそれを狙ったのだ。
■日本人の集まる地区で
ジャカルタのテロ事件も、現場になったのは市内目抜き通りに位置するスターバックスコーヒーだった。
周囲は外資系企業が入居するビルがあり、日本人も非常に多い。この事件での日本人の犠牲者はゼロだったが、それは結果に過ぎない。事件発生当時はビルの一室で長時間釘付けにされていた駐在員もおり、まさに恐怖との戦いだった。
残念ながら、「日本人は狙われている」ということを意識しなければならない。イスラム教は本来、異教徒に対して寛容な宗教。だがISのような過激派組織はもはや「イスラム教」と呼べるものではなく、コーランを暗唱できない人質を次々に殺害するという行為にも及んでいる。
■ゴルフ場も狙われている?
また、ダッカでのテロ事件の現場周辺を見てみると、ゴルフ場が近くにあることが分かる。
「ゴルフ場あるところに日本人」という表現は、決してナンセンスではない。ASEAN諸国の現地系企業の中には、日本人駐在員の需要を見込んでゴルフ練習場を建設する会社もあるほど。
もし日本人を殺害しようと思うなら、土日のゴルフ場を襲撃するのが一番手っ取り早い。こうした「知識」が今後テロリストの間で常識になれば、日系企業は何かしらの対策を打ち出さなければならないだろう。
いずれにせよ、我々日本人の目から見ても「テロはすぐそこにある」のだ。
・合わせて読みたい→バングラ首都テロ事件で特殊部隊突入 「日本人犠牲者」の報道も
(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
・合わせて読みたい→バングラ首都テロ事件で特殊部隊突入 「日本人犠牲者」の報道も