東南アジアで急拡大中のベーカリー 小麦が変える食習慣
2016/06/19 05:30
シンガポール資本の『ブレッドトーク』というベーカリーチェーン店がある。この企業はウィキペディア日本語版に掲載されているほど有名なのだが、日本にはいまだ進出していない。
しかし、アジアや中東ではすでに不動の知名度を獲得。特に東南アジアのショッピングモールに行けば、かなり高い確率でブレッドトークのロゴを見ることができるのだ。
しらべぇ取材班は、このブレッドトークの店舗を訪れた。
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■「食事のためのパン」が多めに
ブレッドトークに来てまず目につくのは、種類の豊富さもさることながら「チーズを使ったものが多い」こと。
これは、ピザパンやドッグパンのような「軽食以上」のものを指す。たとえば、日本のコンビニで売られているパンは菓子パンかサンドイッチが中心だが、ブレッドトークのラインナップはカロリーが高めだ。
もちろん「菓子パンがない」わけではない。ブレッドトークへ行けば、菓子パンやクッキー、ホールケーキまで買うことができる。
現代日本では「当たり前」かもしれないが、ASEAN諸国の市民にとって種類豊富なパン屋は「革新的」と言ってもいいのだ。
■東南アジアと小麦
意外に知られていないが、東南アジアでは小麦粉の生産がほとんど行われていない。
なぜなら、高温多湿の東南アジアで小麦は育ちにくく、米が年3回も収穫可能。もちろん国立の試験栽培場では小麦生産も行われているはずだが、わざわざ「一般農家が小麦を作る」ことはまずない。
だから、タイやベトナムなどは中国から、インドネシアはオーストラリアから小麦を輸入している。その総量が増加し、決して豊かではない一般市民にも、パン食の習慣が根付くようになった。
■右肩上がりの消費量
小麦を使う料理は、もちろんパンやケーキだけではない。今、ASEAN諸国では日系資本の麺類店が増えつつある。ラーメンやうどんを提供する店舗が、現地市民に受け入れられているのだ。
考えてみれば、ラーメンもうどんも原材料は小麦。それらの店が増えるに従い、現地の小麦粉消費量も飛躍的に伸びている。ビジネスの視点で見れば、ASEANの小麦関連業種はまさに有望株なのだ。
東南アジアは、これから世界経済を牽引していく一大消費地になるだろう。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
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