米フロリダ乱射事件を受けて 銃関連株が大幅に高騰中
2016/06/15 05:30
先日発生した米フロリダの乱射事件は、この国の銃規制議論に再び火をつけた。だがそれと同時に、金融市場では恐ろしい現象も発生しているのだ。
アメリカは常に、銃とともにある。かつてイギリスから独立を果たした時、一般人が銃を持って戦場に駆けつけイギリス軍と戦った。だからこそアメリカの憲法で「民兵の武装」が権利として挙げられているのだ。
そして現代、銃器の製造・販売は一大ビジネスになっている。
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■有名銃メーカーの株価は…
今月13日は、フロリダの乱射事件以降初めての平日。
この日の金融市場で、特に注目されたのが銃器株だ。アメリカを代表する銃メーカーのスミス&ウェッソンは、前日終値21.41ドルから一気に値を上げ、当日終値は6.87%高の22.88ドルで落ち着いた。一時は10%超の高騰に差しかかっていたほど。
スミス&ウェッソンの企業名は、日本でも非常に有名である。この会社は文字通り、スミス氏とウェッソン氏の共同設立によるもの。戦時景気とその後の不況の落差が激しい会社として有名だが、最近では国内での銃販売が堅調だ。
■スターム・ルガーも堅調な推移
また、堅実かつ安価な製品で評判のスターム・ルガーも前日終値57.41ドルから大幅に値を上げた。終わってみれば62.29ドル、前日比8.5%高。
同社の銃は少々古めかしい設計だが、信頼性と手頃な価格が消費者に受け入れられ業績を伸ばしている。それにしても8.5%高とは、まるで有名企業の買収劇があったかのようだ。
ところがアメリカでは「銃の駆け込み需要」がしばしば発生する。銃規制が近づいた時、それを恐れた市民が相次いで銃を購入するのだ。
■大統領令発表も…
今年1月、バラク・オバマ大統領は銃規制に関する大統領令を発表した。
これはガレージセールやインターネットなどにおける銃販売の際、当局からのライセンスを取得しなければならないというもの。逆に言えば、ライセンスがあれば銃を販売してもいいということだが、それだけの規制でもオバマ大統領は全米ライフル協会から壮絶な非難を浴びた。
そしてその時、やはり銃の駆け込み需要が発生。「大統領が銃販売を禁止するかもしれない」という市民の危機感からだ。
ちなみに、アメリカには『401K』という年金制度がある。これは一律的な日本のそれとは違い、個人の運用の仕方によって将来の支給額に差が出る。積立金の投資運用先を、自分の意志で変更できるのである。
大抵の加入者は積立金の投資先分野については担当者の「お任せ」にしているが、その結果401Kの資金が銃器製造株に行き渡っていることが判明。銃規制推進派の市民の間で、今もこの問題が取り沙汰されている。
アメリカの銃問題は、非常に根深いところまで達しているのだ。
・合わせて読みたい→米で50人死亡の乱射テロ 銃を手放せないフロリダの事情
(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
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