内定辞退者の特徴から判明 現在の就活の「構造的問題点」とは
2016/06/11 18:00
6月に入り、いよいよ新卒採用が佳境に入ってきた。学生側はなんとか内定を取ろうと奮闘し、企業側も優秀な学生を囲い込むべく、躍起になっている。
しかし、ここでよく問題になるのが「内定を辞退する学生」の存在だ。「優秀だけど他社に行きそうな学生」と、「少し劣るものの確実に来てくれる学生」のどちらを取るか、悩む採用担当者は多いだろう。
そこでしらべぇ編集部では、全国の20代~60代の男女1,348名を対象に、「内定を辞退したことがある?」という質問をぶつけ、辞退しやすい人の特徴を調査した。
■採用する側の人間が一番内定を辞退してきた?
性・年代別データを見てみると、もっとも直近に就活を経験した20代は、男女ともに20%前後と約5人に1人が内定辞退の経験があると回答。この数値は、企業の採用担当者にとって参考になる数値ではないだろうか。
一方、もっとも高い内定辞退率を記録した世代が、採用の判断を下すポジションにいる人が多いであろう40代~50代男性だということが判明。
当時の経済状況や採用システムの違いなどがあるため、一概には言えないが、事実として内定辞退者がこれだけ多い世代だった以上、学生側に内定を辞退されても、文句を言える立場ではないのかもしれない。
■当の就活生たちが考える今の就活の問題点
「内定辞退」の現状に関して、現在5つの内定先を持つ都内の国立大学生S君に話を聞いてみたところ、ウソと本音が入り混じる現状の新卒採用の問題点を、以下のように指摘してくれた。
「一番理想なのは誰もウソをつかないことですが、学生側は、周りの学生が『御社が第一志望です!』と言っている限り、自分もそう言わないと自分だけ不利益が生じます。
企業側も、『面談』と称して裏でこそこそ選考したり、『オワハラ』をしている企業が一社でもある限り、自分たちもやらないと不利益を被る。今の新卒採用の問題点は、もっと構造的なものだと思います」
もちろん、構造的な問題だからといって、両者ともにウソをつくことが肯定されるわけではないが、現在の新卒採用システムが「ウソをつかざるを得ない状況」を助長してしまっていることは、否定できなさそうだ。
■出身地別内定辞退率から見える、就活の格差
さらに都道府県別のデータを見てみると、就活における地方格差が浮き彫りになってきた。
内定辞退者は内定を複数獲得していることが前提なので、優秀であることは間違いないが、それだけ多くの企業の選考を受けていることも、内定辞退者の特徴だと考えられる。
その意味で、やはり都内在住の人は、気軽に多くの企業を受けられる一方、地方出身者は地元で就職しない限り、東京で選考を受ける企業は限られてしまう。その分、ひとつひとつの企業を大切に受験するのだろう。
内定辞退率から、現状の就活の構造的問題点が見える調査結果となった。
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(取材・文/しらべぇ編集部・阮)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年2月19日~2016年2月22日
対象:全国20代~60代の男女1,348名(有効回答数)
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