元自衛官が語る 遭難少年を発見できなかった理由と費用
2016/06/07 06:29
北海道の7歳男児置き去り事件は多くの謎を生み出した。中でも、「自衛隊まで投入されたのに見つからなかった少年は何者なのだ」という話題が尽きない。その捜索費用もどれほどかかったのかも、疑問もある。
この件に関して、しらべぇ取材班は元自衛官(30代・男性)に話を聞いた。
■自衛隊出動によって家族が負担する費用は?
「税金なので無料ですね。基本的には家族への請求はいかないはず。ただ、民間の山岳救助隊の協力を要請すると費用がかかってしまうので注意が必要です」
■なぜ男児は見つけられなかった?
「捜索範囲の規模にもよりますが、見つからないことは多々ありますね。捜索の訓練はよくしていますが、なかなか難しい。今回の捜索範囲は広域なので発見するのは困難だとわかります。
それに加えて、もうひとつ、今回は特殊な状況です。子供が1人で置き去りにされるのは極めて稀なケース。なので、こうした状況を想定した訓練も今まではしていなかったはず。子供は大人なら取らない動きをするので、行動が読みづらい。
今回の一件でこういうケースの訓練もされるように対応されるでしょうし、彼がどんな行動をしたのかを聞き取りすることは今後の訓練に反映される重要な情報になると言えます」
■自衛隊はどんな遭難救助の訓練をする?
「訓練は富士山などで色んな勤務地の部隊が合同で行ないますね。遭難者と救助チームにわかれて、より迅速な解決を目指す。犬が投入されることがあります。そうした訓練は犬に成功体験を重ねさせる目的もあるので、遭難者役が逃げまわったりはしません。
救助するときは、遭難者の痕跡を探してます。足跡や折れた枝、あとはゴミが落ちていないかも遭難者追跡の上での重要な手がかりになりますね」
遭難してしまったときは、なるべく痕跡を残すようにするのが一番のようだ。無計画に動きまわれば、探し出すほうも迷うばかり。もし遭難してしまったときは、そうしたことを意識してみれば生存率があがるのではなかろうか。
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(取材・文/しらべぇ編集部・モトタキ)
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