野球界に激震!ファウルボールで失明した客に高額の慰謝料
札幌ドームの一塁側内野席で野球観戦中の女性にライナー性のファウルボールが直撃し失明。「原因は安全確保をおこたった北海道日本ハム球団と球場運営会社らにある」として、20日、札幌高裁が球団に3357万円を支払うよう言い渡した。
これは控訴審での判決で、一審では原告が全面勝訴していた。もともと、女性側は約4660万円の損害賠償を求めて提訴していたものの、裁判長は野球に集中していなかった女性の非なども考慮し、罰金は約1000万ほど減額された形だ。
■防球ネットを排除する流れに待ったがかかる?
昨今プロ野球の球場ではグラウンドレベルで観戦できるフィールドシートが登場し、好評を博している。さらにほっともっとフィールド神戸、横浜スタジアムや札幌ドームのように内野席の防球ネットを排除し、より臨場感のある野球観戦が可能になっている球場も。
一方で、それに伴い、危険度も上昇している。ファウルボールや折れたバットがスタンドに入り、怪我をするケースが発生している状況だ。
球場側は危険を促すアナウンスを頻繁に行なっているほか、係員による笛で注意を促しており、「応急処置はしても最後は自己責任」というスタンスだが、今回の判決が確定すれば、フィールドシートの撤去やネットの設置を検討せざるをえないだろう。
■身の危険を感じたことがある人は意外と少ない
ちなみに、しらべぇ編集部がアンケートサイト「マインドソナー」で「野球観戦中に身の危険を感じたことがあるか」聞いたところ、「ある」と答えた人は7人に1人程度にとどまっている。
グラウンド上に集中していればファウルボールはある程度は避けられることもあり、実際に身の危険を体験をした人は少ない。それならば、臨場感の味わうことのできる現在の球場形態でも問題がないように思える。
しかし、プロ野球の場合娯楽的な要素が強く、「遊びに来る感覚」の人も多い。プレーに集中せずよそ見をしてしまう危険がある以上、安全面の配慮を優先すべきとの声もあり、意見がわかれるところだ。
今後、日本ハム側が上告する可能性もあり、予断を許さない状況。野球観戦の形を大幅に変える可能性のある訴訟だけに、動向が注目される。
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(取材・文/しらべえ編集部・佐藤 俊治)
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