「AV女優の出演強要被害」問題に川奈まり子が語った1万字の真実

現役AV女優からも反論の声が上がる「AV強制出演」問題。川奈まり子氏の1万字を超える提言をご覧ください。

2016/05/07 09:00

川奈まり子

NGO団体『ヒューマンライツ・ナウ(HRN)』が「アダルトビデオ(AV)撮影の強要と女性に対する人権侵害」として提出した報告書が、議論を呼んでいる。

現役のAV女優から多くの反論が上がったほか、元AV女優で作家、しらべぇコラムニストでもある川奈まり子氏は当初から反論とともにAV業界への提言も発信している。

「AV女優強制出演」問題に元・人気女優の川奈まり子が提言

5月4日には、「業界で働く人々はHRNヒューマンライツナウのAV被害調査報告書をどう読んだか公開検証ミーティング」と銘打ったシンポジウムも開催された。

このイベント後に発信された川奈氏による85本に及ぶツイートをご本人からの申し出により再構成してご紹介する。


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■「AV出演」は違法な「売春」ではない

PAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)は公式見解として「AV出演は売買春の一形態」と述べています。

売春防止法では、「第二条 この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう」「第三条  何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない」とされています。

AV出演は、性行為の相手からではなく、AVメーカーから金銭を貰うのであり、しかも男女両者に支払われるので、売春には該当しません。AVメーカーも、性行為の当事者(出演者)から金銭を受け取るのではなく、映像を売って利益を得るので、売春防止法に該当する業者ではありません。

さらに、AV出演には性行為を伴わないケースも多く存在しますから売買春の解釈以前に事実誤認があります。通行人役など群衆の役を演じるエキストラにも出演料は支払われ、彼らも皆「AV出演」者。また、「疑似」といってあたかも性交しているかのごとく演技する場合も多いのです。

感覚的・心情的な解釈は措いて、AV女優・男優はエキストラと同じく出演業に従事する者で間違いありません。職業欄=出演業で、堂々と確定申告できます。実際多くのAV専業出演者がそうしています(かつては私も)。

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■安法の「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務」?

またHRNは、AV出演について、職業安定法上で「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務」と定められているかのように主張しています。

しかし、民法のどこかでAVが名指しされているわけではなく、わずかに、職安法63条二項に「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者」が課罰対象になると書かれているだけです。

問題があるAVは存在し、出演強要被害を否定するものではありませんが、倫理審査を通過した合法的なAVが大半であり、良心的な業者が多いのも事実です。

なんといっても、HRNの主張の論拠となっているのは被害者を生んだとくに悪質な案件のみなので、それらを判じた裁判官が公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務と判決を下すのは当然のこと。

AV出演を一律に公衆道徳上有害と決めつけることはできないはずです。 係争問題化した場合には「有害危険」と判じられるけれど、平時であれば、合法なAV出演については、やはり解釈次第だとしか言いようがないのです。

本来は解釈による、ましてや法律家に裁かれるような問題を起こしてもいないAVまでも一括りにして、「AV出演は公衆道徳上有害な業務」と喧伝する目的は何でしょうか。

AVをことさらに貶めるためのレトリックだと捉えるのは穿ちすぎかもしれませんが、恣意的な決めつけであることだけは指摘したいと思います。

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■法に則らずに「AV=違法」は逆効果