意外に多い?人の顔を覚えられない「相貌失認」の苦悩とは
2016/04/07 07:00
「人の顔と名前を覚えることが苦手」という悩みを持っている人は少なくないだろう。社会人ともなれば多くの人に会うようになるが、名刺交換しただけの人と数か月後に再会して認識するのは、たしかに難しい。
しかし、世の中には生まれつきの脳の問題で人の顔を覚えるのに支障をきたす人々がいるらしい。それは「相貌失認」と呼ばれる症状の人々だ。
■実際に話を聞いてみた
相貌失認の人は、どのような困難を味わっているのか? しらべぇ取材班は「軽度の相貌失認の可能性が高い」と診断されたM氏(28歳・男性)に話を聞いた。
「高校生までは、自分が相貌失認だとは知らなかったんです。それまでは名札や、制服に名前が書いてあったので大丈夫だったんようで。
しかし、大学に入ると困るように。まあ、さっきまでずっと教室で話して話してた人と5分後に廊下で会っても誰かわからなかいので、当然ですよね。相手はびっくりして、『え、大丈夫?』って微妙な空気になることも多かったです。
なんか、顔のパーツパーツはちゃんとわかるんですよ。でも、それが全体で見るとなると、頭の中がぼやっとして組み立てられなくなってしまう」
■相貌失認ならではのエピソードはありますか?
「相貌失認あるあるだと思うんですが、子供の頃から映画を見ても最後まで主役たちの顔が覚えられませんでした。そもそも、芸能人の顔を覚えるのは得意ではないですし…。
ジャニーズのように、顔立ちが整っていて特徴がない人は総じて覚えにくいです。髪形や背丈が似てるとみんな同じに見えるんですよね。ただなぜか指原莉乃さんだけはすぐに覚えたんですけど。あとは、毎回役作りで体型を変える鈴木亮平もムリです。
その他には、付き合って三カ月くらいまで彼女の顔を思い出せず、デート前に一緒に撮った写真を見て復習したりしてました。そして、待ち合わせ場所では確信が持てないせいで話しかけず、熱視線を送って気付いてもらう。
比較的覚えやすい顔の人と、そうでない顔の人がいるんですよ。我ながら酷いですよね」
■覚え方はありますか?
「僕の場合は服装や髪形、靴、声など、つまり顔以外の情報です。そのせいか、女子が新しい靴を履いてくるとすぐにわかったりします」
付き合いの少ない相手の顔を覚えるのは誰しも難しいであろうが、恋人の顔までなかなか覚えられないとは…。彼らにしかわからない悩みは多そうだ。
■3人に1人は顔を覚えるのが苦手
なお、しらべぇ編集部が全国の男女1352名に話をアンケートしたところ、「人の顔を覚えるのが苦手で困ったことがある」と答えたのは全体の33.1%であった。
先天性のもので2%、広く軽度も含めると10%が該当するという指摘もあるこの病気。『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルや俳優のブラッド・ピットなども該当すると言われていて、決して珍しいものではない。
もし、上記のエピソードに共感できる人は、相貌失認の可能性もあるだろう。気になった場合は、一度病院で診察してもらうのがいいかもしれない。
(取材・文/しらべぇ編集部・岡本拓)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年3月18日~2016年3月22日
対象:全国20代~60代の男女1352名
・合わせて読みたい→風邪ひきやすい人は意識してる?春の冷えにも「温朝食」