「隠れ家レストラン」が全国に7万軒もある理由とは?

近年、食べ歩き好きの中では一般的になった言葉に「隠れ家風」がある。「探さないと見つけられない、感度の高い人しか行けない店」というニュアンスがそこには含まれているだろう。

しかし、近年ではこの言葉が拡大解釈され、「地下一階にあると隠れ家風」「裏路地にあると隠れ家風」「内装がおしゃれだと隠れ家風」「都心から外れた街にあれば隠れ家」と言えるほど氾濫している現状だ。


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■食べログで7万軒弱もある!?

(画像は食べログHPのスクリーンショット)
(画像は食べログHPのスクリーンショット)

実際、食べログで「隠れ家レストラン」で検索すると、67002軒がヒット。これは日本中に隠れ家があると言っても過言ではない数字で、「逆にどこが隠れてないの?」と聞きたくなるレベルだ。(2016年3月14日現在)

ちなみに、検索範囲を東京にすると16757軒が該当。全国の4分の1が集中し、一種の一大勢力となっている。

しかし、本当にウマい店は口コミやメディアによる取材により、否が応でも有名になるもので、「隠れ家のような雰囲気を持っていたとしても、隠れることはできない」とも言える。

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■神楽坂の名焼き肉店『翔山亭』

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たとえば神楽坂の路地裏にある焼肉の名店『翔山亭』も、某グルメサイトでは「隠れ家風焼き肉店」とレビューされているお店。

しかし、口コミ数は100件以上あり、知名度は低くない。また、料亭のような店構えは隠れているとは言い難く、むしろ目立つと言ってもいい。隠れ家的要素があるとすれば、神楽坂の路地裏、という点くらいである。

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店内に入ると、豪華さは変わらず。客室も、清潔で高級感にあふれている。


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■隠れたお肉の味は…

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取材班が訪れたのはランチタイム。10分後、注文した「ビフテキ重」がやって来た。サーロインを使った肉の甘みたっぷり。

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しかし、脂身がしっかりしていて、肉汁が口の中にあふれる。近頃は「意外とあっさりで食べやすい」タイプのお肉が多いが、ここは焼肉屋らしい味を楽しめる。

税込みでおよそ2000円という値段設定だが、夜に訪れるよりははるかに安く、お得感すらある。取材した当日も、多くの人でにぎわっていた。


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■隠れ家カフェ経営者に聞いてみると…

実際、飲食店の経営者は、「隠れ家風のお店」が氾濫した現在の風潮をどう感じているのだろうか? 都内でカフェを経営する女性(40代)に話を聞くと…

「日本語には『隠れたるより現るるはなし』という言葉があります。これはおおざっぱに言うと他人に内緒でこっそりとしたことは、かえって人に知られてしまうものである』という意味。


その言葉にあるように、日本人は人が知らないことに魅力を感じる人が多いと思うんです。テレビに露出しないバンドってありますけど、露出しないのが売りだったりするじゃないですか?


だから、飲食店でもなんとなくそういう空気感を出すって大事だと思うんです。知っていること自体がセンスのいい証拠で、デート相手を連れていくと喜ばれるようなね。やっぱり、飲食は『雰囲気代』込みの値段ですから」


たしかに、外食する時、普段の嫌なことを忘れて楽しみたい気持ちという気持ちがある。非日常を楽しむという意味では、「隠れ家風」というのは、ある種の楽しみ方と言えるだろう。

「隠れ家風」のお店が多くなったのは、飲食店オーナーたちの経営努力や、その店を「特別な場所」だと思いたい客の心理が理由なのかもしれない。

(取材・文/しらべえ編集部・岡本拓

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Sirabee編集部

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