若者たちが選挙放棄? 「反対しても多数決で高齢者が勝つ」
魅力的な公約が求められているのではないだろうか。
2016/03/05 07:00
『若者の政治離れ』が深刻化している。たとえば、平成26年に行われた第47回衆議院選挙では、60代の投票率が68%台なのに対し、20代は32%台と半分以下の水準となった。また、平成2年の選挙以降、20代の投票率が過半数を越えたことは一度もない。
■危機的な水準
日本の未来は全体の総意で決められていくはずのものであり、この数値は危惧すべき値である。また、国民の三大権利のひとつを放棄しているという意味でも、問題だ。
しかし、この投票率の低さが、「日本の人口分布のリアルな感覚を反映した数値」だとしたら、どうだろうか。それは「社会に占める高齢者の割合が大きすぎるため、どうせ若者の意見は通らない」という感覚だ。
■過半数近くが諦めの境地か?
しらべぇ編集部では全国の20代~60代の男女1347人に調査を行った結果、「高齢化の進んだ今の日本では、結局年長者の意見が通ってしまうと思う」と答えたのは全体の44.0%。
過半数は越えなかったとはいえ、少子高齢化社会の現実を突きつけられる結果だ。
年代別結果では、20代~40代は半数近くが諦めムードなのに対し、60代以上の人はおよそ3人に1人にとどまることがわかった。
総務省統計局の調査によると、人口に占める65歳以上の割合は26.7%(平成27年)。80歳以上の人口は1000万人を突破している。
「投票数=人口×投票率」であることを考えると、「生産年齢人口(15~64歳)の投票総数が、高齢者(65歳以上)のそれを下回る」などというフィクションのような時代も、いつの日か訪れるのかもしれない。
■戦争の恐怖を感じる若者も…
若者世代は、この数値についてどう考えるだろうか? 取材班が話を聞いたところ、以下のような回答が得られた。
「高齢者の医療費にお金を割くのなら、若者世代に還元してほしい。待機児童問題もそうだし、大学授業料を安くするとか、未来への投資じゃないですか? でも、お年寄りにも責任はないので、なにも言えない」(20代・男性)
「今まで選挙に一度も行ったことがないのですが、政治家たちの相次ぐスキャンダルを見てると『頼っても仕方ない』って思います。まあ、ブラック社畜ゆえ、自分のことで精いっぱいなのもありますが」(20代・女性)
「政治だけじゃなく、組織もそう。結局、年長者が美味しいところを全部持って行ってしまう。でもそういうものだと思うし、仕方ないかな。
ただ、戦争だけは嫌なので『若者よ、出征しろ! 日本を守るんだ!』とお年を召した政治家に命令されたら、日本を捨てて逃げますね。そんなことないと信じてますけど」(20代・男性)
未来を変えるために選挙はあるはずだが、その未来を背負う世代が希望を抱いていない今の現状。小手先の投票率アップよりも、まず最初に若者世代が明るい将来を夢見れるような、そんな魅力的な公約が求められているのではないだろうか。
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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)
対象:全国20代~60代男女1,340名