メタルヒーローと仮面ライダーの意外な関係【出口博之のロック特撮】
2016/02/01 19:00
こんにちは、モノブライトのベース、出口です。およそ半世紀以上続く特撮の歴史は、「世代交代と継承の歴史」と言っても過言ではありません。
その時代を象徴するヒーローが現れ、役目を終えると次の世代のヒーローに役目を受け渡し、それがまた次の世代に引き継がれる。
この継承の図式は同じシリーズ内でみられる場合がほとんどですが、作品の枠を超えて引き継がれる場合があります。
それが、メタルヒーローと仮面ライダーの関係。1970年代から現在まで、昨今のコラボ作品でも積極的に交わることのなかった2つのヒーローの歴史を振り返り、そのバトンはどこで受け渡されたのか調べてみました。
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■歴史とアイデンティティ
まずはメタルヒーロー17年の歴史と、シリーズの基本概念を簡単にまとめてみました。
作品のテーマを大きく分けると、
①何かしらの組織に所属するもの
②敵味方入り乱れての乱戦もの
③孤軍奮闘もの
④コメディ
ざっくりですが、この4パターン。
■メタルヒーローとは?
着用するスーツなどが科学的に説明できることや、左右非対称のメカニカルなデザインで男子心を「これでもか!」と燃え上がらせた80年代から90年代のいわゆる「特撮冬の時代」を支えたヒーローのことです。
とくに「メカ」と表現したい、金属的・電気的なデザインや、ギミックの多い武器などは、今で言うガジェット的な面白さと格好良さを兼ねそなえ、メタルヒーロー最大のアイデンティティとも言えます。
■時代を繋げる、ヒーローというバトン
仮面ライダーは昭和と平成の間に長い断絶期間があります。先ほどのメタルヒーロー作品テーマ別一覧を下敷きにした年表をご覧ください。
なんと、仮面ライダーシリーズの断絶期間とメタルヒーローシリーズの放送期間が1本の線に繋がるではありませんか。
現実的に考えると、制作・販売側の意図が見えなくもないですが、まるで「次の時代は任せた」と役目を受け渡しているようにも見えます。
■人々の生活にあわせて
テクノロジーが爆発的に発達した80年代、仮面ライダーはシリーズ後半で先進的な科学を作品のテーマに取り入れるも、次の時代に残ることができませんでした。
終了直後、その座を受け継いだメタルヒーローは、当時の時流や世相と絶妙にマッチし、「新しいヒーロー」として70年代における仮面ライダーのように、時代を牽引していきます。
しかし、90年代後半、メカ(携帯電話やパソコンなど、作品内の科学技術とほぼ同等のもの)が私たちの実生活の中に浸透すると、メタルヒーローが持っていた未来感や万能感は薄れ、メカ自体がある種、普通の存在になってしまいました。
役目を終えたメタルヒーローは、次のヒーローにバトンを渡す。その新しいヒーローというのが、80年代初頭にバトンを渡された先人、仮面ライダーなのです。
■バトンとは、ヒーローの根源的な格好良さ
平成仮面ライダーがメタルヒーローから受け継いだもの、それは「メカが持つヒロイックな佇まい」と「男子心」です。
平成仮面ライダーの基本デザイン、変身ベルト、武器など、作品に登場するほぼすべての要素にメタルヒーローの面影を見ることができます。
今年、仮面ライダー45周年を記念して3月に公開される『仮面ライダー1号』のデザインも、初代仮面ライダーにメカニカルな要素を付与し(以前公開された映画『仮面ライダー THE FIRST』よりメカ度高し)、よりヒロイックな佇まいにリファイン。
この新しい仮面ライダーがどんな活躍をし、メタルヒーローの魂がどこに垣間見えるのか、今からとても楽しみです。
■時代とともに進化
時代の移り変わりは、それまでの価値観が変化する瞬間でもあります。ヒーローもそれに合わせて進化し、先人からバトンを継承しながら戦い続けてきました。
今の時代を戦うヒーローの背中には、今までのヒーローたちの思いと魂が刻まれているのです。そんなバックボーンに注目してみるのも、特撮ならではの楽しみ方ではないでしょうか。
(文/モノブライト・出口博之)
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