築地の魅力は魚だけにあらず!年の瀬は大行列の鶏肉屋へ
2015/12/29 06:30
築地といえば、マグロや海老、海苔に昆布…と海のものばかりが浮かびますが、地元の人が愛してやまない鶏肉屋があるのをご存知でしょうか?
その名も宮川食鳥鶏卵株式会社。明治35年創業の鶏肉専門店です。築地市場ではなく、築地駅と新富町駅の間にあるお店。築地4番出口から銀座方面に歩いていくと、風格のある青銅色のレトロな建物が見えてきます。
一階は広いのですが、そのほとんどを作業場で占めていて、お客さんが入れるのは、わずか1坪ほど。3、4人も入れば店はいっぱいになってしまうので、5人目からは寒くても雨の日でも外に行列を作ってじっと待ちます。
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■行列は1時間を超えることも
とくに歳の暮れは、クリスマスやお正月用に鶏を買い求める人々で、1時間待ちも珍しくありません。なかなか列が進まないのは、スーパーやデパートの鶏肉と違って注文を受けてから鶏肉を切るからなのです。
店の奥の作業場では、20代から70代くらいまでの鶏職人さん8人が黙々と、大量の鶏肉をどんどん解体していきます。その包丁さばきは、まさに鶏解体の達人!
鶏のモモやカシラ、モミジ(足の先)、砂肝など、部位ごとに分けて箱に収めているのが見えます。
■販売は精肉のみ
唐揚げやコロッケなどは売っておらず精肉のみ。もも肉は骨付きで100グラム140円、これをぶつ切りにすると150円、さらに骨と筋を抜くと180円、もっと丁寧に取り除くと230円。
この値段の差は筋を抜くか抜かないか、切り身にするかしないかなど処理の差だそう。
店のおじさんにモモ肉を注文すると、「今日は、どうする?」と聞かれます。「ブツ切りで」とお願いすると、「はいよ〜」と、店の奥の積み上げられたモモ肉コーナーから、ひとつモモ肉をつかんで戻ってきて、とレジの横に置かれたまな板で、トントン切り始めます。
■竹皮の包装が期待感をそそる
重さを量り、懐かしい竹の皮に包んで、さらに茶色の包み紙に包装してくれます。
むね肉もおいしいのですが、宮川の鶏肉のおいしさがよく分かるのは、もも肉。きれいに処理されたもも肉で水炊きを作ったとき、もうスーパーの鶏肉には戻れないほど。
やわらかくて臭みもなく、濃厚な鶏出汁スープもぐいぐい飲み干せます。不思議なことに、長く煮込んでも、やわらかいままなのです。
■シンプルな調理でうまさを活かせ
どこかの地鶏でもなさそうですが、デパートで売っている鶏肉よりもおいしく、お値段も手ごろ。鶏を誰がさばくかで、こんなに違ってくるんですね。
あまり手をかけず、さっと焼くか水炊きがおすすめ。シンプルな料理に似合う絶品鶏肉、年越しの食材探しに市場へ行ったら、ついでに寄ってみてはいかがでしょう?
【宮川食鳥鶏卵株式会社】
住所 東京都中央区築地1−4−7
営業時間 9:00−18:00(日・祝・第2または第4土曜定休)
(取材・文/しらべぇ編集部・白石あづさ)
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