『銀の匙』ファンのピザ職人が13巻の「最強のジャーマンピザ」を再現してみた
北海道の農業高校「大蝦夷農業高等学校」を舞台にした、八軒勇吾などの登場人物が送る農業と学園生活を描いた荒川弘先生の作品といえば、『銀の匙 Silver Spoon』である。
少年サンデーに連載されている同作は若い人以外にも、現役の農家や農業に近しい人たちに多くのファンがいるそうだ。熊本県でピザ店「イルフォルノドーロ」を経営している原田将和さんも、そのひとり。
「銀の匙はストーリーも面白いし、お店に全巻飾ってあるのですが最新号で出た『最強のジャーマンピザ』が超美味しそうなので、自分でも再現してみることにしたんです!」
と、連絡をくれた原田さん。原田さんはいとこが酪農家で、お店で使っているチーズもそのいとこが生産しているものなのできっと銀の匙には共感する部分がたくさんあるんだろう。
記者も銀の匙ファンのひとりとして、これはぜひ再現する現場に行かなければなるまい! ということで、東京から熊本までひとっ飛びすることにした。原田さんのお店に到着し、ピザに使う具材を探す。
じゃがいもは色が面白い「シャドークイーン」、ホクホク・しっとり・うまみのバランスが良い「十勝こがね」、綺麗な栗色とねっとりした甘味の「インカのめざめ」3種類が劇中で使われていた。
しかしエゾノー生に人気が高かったのはシャドークイーンをのぞいた2種と、チーズに濃厚な「ラクレット」ともっちりした「モッツァレラ」、日本人好みの「ゴーダ」にベーコンをあわせたものだったので、じゃがいも2種とチーズ3種のピザを作ることに。
また、今回はせっかくなので近隣の生産農家「なないろ農園」さんなどに分けて頂いた、作品に出ていたものとは別の10種類のじゃがいもも入手し、どのじゃがいもがピザに合うのかも確かめることにした。
ストーブで蒸し焼きにして試したのは「さやあかね」、「北海こがね」、「男爵」、「メークイン」、「アンデスレッド」、「グランドペチカ」、「ノーザンルビー」、「インカのめざめ」の8種類。果たしてどれがピザに合うのか…。
原田さんと一緒に試食した結果、ピザにもっとも適していたのはバランスの良さが十勝こがねに近い「キタアカリ」と、インカのめざめに近いねっとり感とさわやかな甘さを持つ「さやあかね」の2種類であった。
よーしコレに銀の匙に登場したチーズとベーコンをのせれば、『最強のジャーマンピザ ~銀の匙風~』の完成じゃい!
さっそくピザを焼いてもらうことにした。さすが熊本で大人気のピザ店の店主だけあって、流水のようになめらかな手つきでピザを焼く原田さん。
薪窯に入れてほどなく、『最強のジャーマンピザ ~銀の匙風~』完成キタ――――!
切り分けてもらい一緒に試食すると、2種類の芋のホクホク感とベーコンの旨味、3種チーズそれぞれの濃厚さをマヨネーズの酸味とペッパーの辛味が引きたて、メチャクチャウマ―――――イ!
これはお店で出しているマルゲリータなど人気のピザと、肩を並べる美味しさなのでは!? と原田さんに話すと、なんとメニューにのせてくれるという! これで熊本に行ったらピッツァを食べてエゾノー生気分を味わえるな!
また、原田さんのアレンジバージョンとしてふかし芋をのせるのではなく、燻製のモッツァレラチーズとお店で揚げたポテトチップスをのせた『最強のジャーマンピザ ~イルフォルノドーロ風~』も考案してもらった。
年末年始の休みに熊本へ行く銀の匙ファンとピザファンは、ぜひイルフォルノドーロへ行って美味しいピザを食べることをおススメするぞ。
しかし荒川弘先生はさすが農業高校出身なだけあって、美味しいものを一杯知っているんだなぁ…。これからも銀の匙の面白いストーリーから、目が離せない!
参考リンク:銀の匙 Silver Spoon 13巻
協力店舗:イルフォルノドーロ(Facebook)
(取材・文/しらべぇ編集部・熊田熊男)
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