【弁護士コラム】「妖怪・幽霊」が部屋に!損害賠償請求できる?
レイ法律事務所、代表弁護士の佐藤大和です。
先日、『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』などの生みの親である水木しげる先生が亡くなられましたね。筆者は、小学校から『ゲゲゲの鬼太郎』を見て育ちました。
とくに夏休みに放送される『ゲゲゲの鬼太郎』をワクワクしながら見たのを思い出します。そんな30代も多いはず。あ~、夏休みが欲しい。
さて、『ゲゲゲの鬼太郎』にでてくる妖怪たちはユニークな妖怪ばかりですね。ねずみ男は、毎回、卑怯だけど、どこか憎めないやつ。猫娘は、昔は怖かったのに、リメイクした『ゲゲゲの鬼太郎』では、いつのまにか萌えキャラに…。
さて、そんなユニークな妖怪・幽霊たちが実際にいたらどうでしょうか? アンケートサイト「マインドソナー」で「妖怪・幽霊がいる部屋」に住みたいかどうか聞いてみました。
■ホーンテッドマンション!?
10%以下と意外に低い結果でした! 妖怪と住んでみると意外と楽しいかもしれませんよ! そういえば、岩手県には、座敷わらしがいる旅館がありましたね。
■不動産会社は「妖怪・幽霊」がいる場合、告知義務アリ?
不動産業者は、宅建業法上、建物を買おうとする人や借りようとしている人に対して、重要な事実を告知する義務があります。たとえば、法令では、「建築士の耐震診断を受けています」といった説明をしなければならないとされています。
また、法令に挙げられていないことでも、「これを黙っている(教えてくれない)のは、いくらなんでもひどい!!」ということであれば、「契約等を信義に従い誠実に行わなければならない」という法律に規定してある基本原則(略して「信義則」)に違反するとされます。
では、不動産会社は「妖怪・幽霊」がいる場合、告知しなければならないのでしょうか?
■妖怪に関する法令や裁判は?
筆者が調べたところ、法令のどこを探しても、妖怪の出没の有無については書かれていませんでした。そりゃそうですよね。そして、筆者が探した範囲ではありますが、「妖怪」についての裁判例も見当たりませんでした。
でも、「幽霊が出る」という噂を説明しなかったとして、建物の所有者に対して、損害賠償を請求した裁判はあったようです。結果については、筆者が調べた範囲ですが、不明でした…。
■他の裁判では?
妖怪に関する裁判例は見当たりませんでしたが、ある裁判では、土地の売主は買主に対して「以前、土地上にあった建物が家事になり、死者が出た」ことを説明する義務があったという判断をしています。
たしかに、「この物件大丈夫かな…」と不安になりますから、買う側としては説明が欲しいところですね。
とすれば、「妖怪・幽霊」が出るという噂がある物件も、売主がその噂を知っているなら、買主に対して、説明すべきだという判決が出ても不自然ではないでしょう。
もし大事な情報を告知(説明)してもらえなかったとして、説明義務違反が認められるのであれば、損害賠償や契約の解除をすることができます。
■まとめ
今回は、『ゲゲゲの鬼太郎』生みの親である水木しげる先生にちなんで、「妖怪・幽霊コラム」を執筆してみました。もし本当に『ゲゲゲの鬼太郎』にでてくる妖怪がいたら、楽しいかもしれませんね。
え、楽しくないって? すぐにそんな家を解除して、引っ越すって? この世には、科学では説明できないこともあるかもしれません。もしかしたら、あなたの後ろにも…
(文/弁護士・佐藤大和)
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