本気度が違う!イタリアのクリスマスを彩るプレゼーペとは?
2015/12/13 10:00
クリスマスといえばキリスト教の祭日ですが、キリスト教の総本山バチカン市国のあるイタリアでは、12月になるとプレゼーペを飾ります。
プレゼーペ(プレゼーピオとも言います)は、イエス・キリスト生誕の様子を人形や置物で表現した模型で、日本でいうと雛飾りのような感覚。しかし、そのバリエーションはひな人形よりも広く、玄関先に飾れる簡易的で小さなものから、等身大のものまであり、家庭だけでなく教会や街の広場、駅、役所など至る所で飾られます。
イタリアでは、ツリーよりも定番なクリスマスの風物詩プレゼーペについてご紹介しましょう。
画像をもっと見る■何を飾るの?
イタリアのプレゼーペは、キリスト生誕のストーリーに欠かせない、ヨゼフ、マリア、赤ん坊のイエス・キリスト、馬小屋とそれを示した流れ星、東方の三博士を始めとする主要の要素だけでなく、街の風景全体を表現します。
それを、いかにリアルに且つオリジナリティーを出しつつ表すことができるかが楽しみどころ。本物の芝生を仕入れて敷き詰めたり、水が流れるようにしたり、動く人形を置いてみたり‥。人形も、ピザを焼いていたり、音楽を演奏していたりと、様々です。
模型を作るパーツは代々受け継がれるものもあれば、子供が学校で作った工作が混ざっていたり、目新しいものを買い足したものもあります。試行錯誤を毎年繰り返されながら、その家庭のオリジナルプレゼーペが完成されていきます。
特に信仰深い人が多い南イタリアでは、ダイニングテーブル一つ分の大きさのプレゼーペは当たり前で、一部屋丸ごとをプレゼーペに捧げる家庭も少なくありません。
■大切なのはクリスマスのカウントダウン
暦上は、12月8日の祭日からイタリアのクリスマス期間が始まるとされていますが、プレゼーペ作りにこだわる家庭では、もっと早くから準備を始めるようです。土台を敷き詰め、芝生をひき、家を置いたらストーリーを思い浮かべながら人形を置いて、最後に明かりを飾りつけ。これだけのことをするとなるとかなりの日数がかかります。
準備にかける日数は人それぞれですが、ひとつだけ決まり事があります。それは、赤ん坊のイエス・キリストのお人形だけは12月25日0時ぴったりに置くこと。24日までは、馬小屋のヨセフとマリアの間に空っぽのかごを置き、「もうすぐここにイエス・キリストの赤ん坊が誕生するよ」と、イタリア人達はクリスマスを指折り数えるのです。
まるで日本のお正月の瞬間のように、12月25日0時直前には、家庭や、教会など、街のあらゆる場所でカウントダウンが始まります。0時のイエス・キリストの赤ん坊が置かれる瞬間はイタリア人にとって1年で1番大切な行事と言えるかもしれません。
■生きたプレゼーペ
教会によっては、クリスマス期間に生きたプレゼーペ(Presepe vivente)と呼ばれる行事を行います。簡単に言えば、イエス・キリストの生誕劇なのですが、これも生まれるシーンを再現したただの演劇ではなく、街全体を再現しており数日にわたって開催されます。
中世を再現した町並みの中でパンやチーズを作っている人や藁細工や刺繍をしている人がいたり、教室で授業を受けている子供達までいて、その様子は生活そのものです。
この生きたプレゼーペでは、毎年一人のイエス・キリスト役が選ばれるのですが、その年の選ばれし赤ちゃんが、親戚中の誇りとなり語り継がれることは言うまでもありませんね。
■プレゼーペを1年中見られる場所
イタリアには、それぞれの街にプレゼーペの歴史がありますが、ナポリには通称プレゼーペ通りと呼ばれる通り(サングレゴリオアルメーノ通り)があり、1年中プレゼーペ職人達が丁寧に手作業で作っている様子が見られるほか、いつでもパーツを購入することができます。著名人を風刺した人形のプレゼーペは、ちょっとしたナポリの名物になっています。
イタリアでは、12月8日から1月6日までがクリスマス期間。この期間にイタリアに行かれることがあれば、是非色んなところでプレゼーペをご覧になってみて下さい。
また、プレゼーペはそれぞれの家庭の歴史と情熱が詰まった作品ですから、もしイタリア人の家庭でプレゼーペを見かけることがあれば、褒めてあげてください。大喜びされること間違いなしです。
(文/しらべぇ編集部・砂流恵介・辰巳真理)
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