動画再生回数2億5000万回!日本ブームを牽引する「中国の山P」って何者?
2015/10/14 09:00
中国でドラえもん映画が最高記録を樹立!日本を特集した月刊誌もバカ売れ!
巷では中国人観光客の爆買いが大きな話題を集めているが、中国で起きている日本ブームは、それだけにとどまらない。
今年5月には、日本でも大ヒットしたアニメ映画『STAND BY ME ドラえもん』が中国で上映され、興行収入は約106億円にも上った。5月31日の上映では、1日で17億7600万円の興収となり、中国でのアニメ映画の日計興収の最高記録を塗りかえるほどの人気ぶりだ。
1979年に始まった一人っ子政策により、中国には“のび太と同じ寂しい一人っ子”が増えた。そんな子供たちにとって、ドラえもんは心の支えになったのではないかとも言われている。また、新作の日本映画が中国で上映されるのは、2012年9月に尖閣諸島の国有化を巡り日中関係が悪化して以降、はじめてのことだ。
さらに、2011年に創刊された日本文化やライフスタイルを紹介する月刊誌『知日』も、好調な売れ行きで注目されている。「制服」「森ガール」「暴走族」「断捨離」「礼儀」など、日本ならではの斬新な切り口がウケているようだ。なかでも「猫」は10万部、「漫画」は50万部を超える大ヒットとなった。
2億5000万回も視聴された若者を虜にする「中国の山P」とは?
https://www.youtube.com/watch?v=cQ9NW2dYDIcのスクリーンショット
七三分けにメガネというお世辞にもイケているとは言えない風貌のこの男性が、中国人の若者に絶大な人気を誇る「中国の山P」である。彼の名前は「山下智博」さん。上海大学美術学院に通い「中国前衛芸術」を専攻する30歳の留学生だ。
街を歩けば若者に写真撮影を求められ、イベントに現れると、あっという間に人だかりができる。「超カッコいい!」と叫ぶ人もいれば、一緒に記念撮影をして感激のあまり泣きだす人までいる。そう、中国では空前の“山下智博フィーバー”が起きているのだ。
彼が中国で注目を浴びたのは、ある動画がキッカケだった。中国版ニコニコ動画といわれる「ビリビリ動画」にて、ビニール製の人形とのコスプレ動画を複数アップし、「本物のヘンタイが日本からやってきた!」と若者から大反響を呼んだ。ピカチュウに扮し人形を抱きしめる姿から、そのヘンタイぶりが伺える。
https://www.youtube.com/watch?v=9ZWimIRRc3Uのスクリーンショット
リアルな日本を伝えるオリジナル動画がコンテストで優勝
さらに、半年間1日も休まず更新している自作の動画『紳士大概一分钟(紳士の大体一分間)』も爆発的ヒットとなり、総再生回数が2億5000万回を数えるまでに。同番組は、独自目線で日本の文化やライフスタイルをコミカルに紹介しており、中国最大のネット動画サイトのコンテストで優勝を飾った。
「一度は言ってみたい日本語~ドラマ編~」がテーマの回では、「私のためにケンカはやめて!」というセリフを紹介。「2人のイケメンに同時に愛されたいってことなんだろうけど、この場合、絶対女のほうに原因あるからね」と自身の見解が盛り込まれている。そのほかにも、池袋の乙女ロードや日本のコンドームの値段など、扱うテーマは多種多様。
https://www.youtube.com/watch?v=yyxv2wxeGw8のスクリーンショット
彼の動画がこれほどまでに支持を得た背景には、中国でのバラエティー番組やインターネットの規制があったと言われる。中国では数年前にテレビの規制が厳しくなり、お見合いやゲーム、お笑いなどを扱ったバラエティー番組が70%も消失。さらに、FacebookやTwitterをはじめとした国外のメジャーサービスもアクセスが制限されている。
そんななか“自由な発想”で作られた山下さんの動画は、娯楽に飢えていた中国の若者の心をわし掴みにしたのかもしれない。彼は「リアルな日本を伝え日中の潤滑油になること」を目標に活動に励んでいる。「山下智博」というひとりの日本人の存在が単なるブームにとどまらず、日中の架け橋となってくれることを願ってやまない。
(文/しらべぇ編集部・小林香織)
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