東映「不思議コメディ」は「ゆるキャラ」の原点? 【出口博之のロック特撮】
2015/09/21 17:00
こんにちは、白ポロ+眼鏡でおなじみのMONOBRIGHT、ベースの出口です。
特撮番組といえば、かっこいいヒーローたちの姿を最初に思い浮かべると思うのですが、実は愛すべきキャラクターが主役のシリーズが存在します。
それが1981年から1993年まで放映されていた東映「不思議コメディ」シリーズ。シリーズ後期は「女の子が変身して戦う」という作風でした。
ですが、シリーズ初期から中期にかけては、今で言うところの「ゆるキャラ」にも通じる子供の落書きのような、ちょっとアバウトで、どこかクレイジーな魅力を持った「キモカワイイ」キャラクターが主人公だったのです。
放送期間が限られているので、この作品を知らない方も多いでしょう。今回は東映不思議コメディシリーズに登場する生物を特集します。
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■宇宙からやってきた新しい友達は、ヘンテコだった
最初にご紹介するのは1983年に放送された「ペットントン」です。
写真はまんだらけ通信販売のスクリーンショットです
シュールな作風が特徴の東映不思議コメディシリーズにおいて、トップクラスのシュールさとインパクトを持った容姿。
某不動産ポータルサイトのキャラクターにも似ていますが、放送当時の時代背景を考えると、恐らくスティーブン・スピルバーグ監督の映画「E.T.」がインスパイア元でしょう。
突如宇宙からやってきたペットントンを拾った少年との交流がテーマである部分もE.T.に近いですが、ペットントンが地球に来た理由は「草を食べ過ぎて宇宙人に捨てられた」から。なんとも壮絶な理由です。
特撮好きの間ではある意味神回と評される第30話「横浜チャーハン物語」は、ぜひ一度見て頂きたい。なんとシューマイとチャーハンが結婚するんです! これぞ東映不思議コメディの真骨頂。
■眠り続けて8億年! 女の子の向けにシフトした重要作品
続いては1984年に放送された「どきんちょ!ネムリン」です。
写真はまんだらけ通信販売のスクリーンショットです
まさしく女の子が好みそうなピンクのフワフワ系キャラ。
目が半分開いていない寝ぼけ眼もカワイイですが、実はネムリン、8億年もの間眠り続けていたという、三年寝太郎もびっくりの寝入り方。
ちなみに、8億年前に地球では大規模な氷河期時代に突入します。生物が大量に絶滅した時代にネムリンが長い眠りに入ったと考えると、途端に今作がハードSFっぽさを醸し出してきます。
これまでのシリーズでは男の子が主人公でしたが、ネムリンと交流する子供を女の子にすることで、東映不思議コメディシリーズが本格的に女の子向けにシフトした最初の作品。
■知る人ぞ知るマイナー作品!
最後は1985年に放送された「TVオバケてれもんじゃ」です。
写真は、まんだらけ通信販売のスクリーンショットです
正直に言うと、私はこの作品を大人になるまで知りませんでした。当時読んでいた幼年誌でも見た記憶がなかったのです。
厳密に言うと今作は東映不思議コメディシリーズではありませんが、前述のペットントンの成功を受けて制作されている背景を鑑みて同じ枠に入れても差し支えないと判断しました。
主人公である「てれもん」はテレビの中に棲みつき「電波のカス」を食べているTVオバケという設定ですが、モップのオバケと表現した方が正しいかも知れません。
なぜ私が大人になるまで今作を知らなかったのか。その理由は打ち切りによる、ごく短期間の放送だったためです。なんと全11回。これでは知る機会がなくて当然です。
そんな不遇の作品ですが、オープニング曲の「NiceAccident(ナイスアクシデント) / 歌:榊原郁恵」は名曲です。さらに、作詞に森雪之丞さん、作曲に芹澤廣明さん、編曲に川上了さんと、盤石な作家陣。
特に芹澤廣明さんはチェッカーズの楽曲も手掛けていて、どことなくチェッカーズの匂いも感じる曲になっているので、是非聞いてみてください。
■じつは制作陣が超豪華
ちょっとヘンテコで、ヒーロー要素と離れた世界観が特徴の東映不思議コメディシリーズ。
実は、原作者は仮面ライダーやスーパー戦隊の礎を築いた秘密戦隊ゴレンジャーを生み出した、石ノ森(石森)章太郎先生なのです。
特撮の歴史において、シリアスからシュールギャグまで幅広く生み出した石ノ森先生の手腕に、改めて驚愕するばかりです。現在ではシュールギャグ特撮が作られていないので、新しい不思議コメディシリーズが生まれることを願っています。
(文/MONOBRIGHT・出口博之)
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