夏に欠かせない「素麺の元祖」は奈良にあり! 極細で歯ごたえあるその味わいとは?
2015/08/11 08:00
夏バテでも食べられてしまう、季節のお助けメニューといえば「そうめん」。
うどんや、ひやむぎの細いものをそうめんだと考えがちだが、むしろ手延べそうめんこそが「うどんの祖先」ともいえる存在なのはご存知だろうか?
奈良県桜井市でつくられている三輪そうめんが「元祖そうめん」と聞き、編集部でその味を調査してみた。
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■「三輪そうめん」の産地、奈良県桜井市
画像出典:Wikipedia
日本最古の神社の一つともいわれている『大神神社(おおみわ)』神社の付近一帯が、「三輪」と呼ばれる三輪そうめんの産地。
この神社に祭られている大物主大神(おおものぬしのおおみかみ)は、稲作豊穣・酒造り・疫病除けの神様。奈良県で小麦の栽培を始めたのも大神神社が関係しており、「そうめん」もこの神社とつながりが深いと伝えられている。
■そうめんのルーツがお菓子にもなっている
そうめんの原型は、奈良時代に唐から伝来した「索餅(さくべい)」。
和名を「麦縄(むぎなわ)」といい小麦をひいて水と合わせ、棒状に練り縄状にして乾燥させた食物だったそう。大神神社に備えるお供え物や、飢饉に備えた保存食として変化したといわれている。
この「麦縄」をイメージして油で揚げたもので、「麦縄菓子」というお菓子もある。麦縄菓子は乾パンと同じぐらい固く、ゴリゴリと行った食べ応え。噛むと、油と粉の甘みが素朴な美味しさで、懐かしい味わい。
固めなので、食べるときは割って口に入れるのがオススメ。
■元祖の「三輪そうめん」を食べるならココ!
創業298年の老舗そうめんメーカー「山本」の、本社の一角で営業しているのが「そうめん処 三輪茶屋」。温かいにゅうめんもメニューにあり、冬でも楽しむことができる。
■コシがしっかりしていて、絶妙な締め具合
麺は細いがやや固く茹でられており、噛むと小気味よくプツプツッと歯ごたえが楽しい。家で食べるそうめんと違い、食べ進めていってもほとんど伸びていない。最高の茹で加減と、締めかたになっている。
また、この万葉セットは、柿の葉寿司と笹寿司、名物の吉野葛を使った葛デザートが付いている。奈良名物が凝縮されているのも嬉しい。
■最高峰は、そうめん規格の4分の1太さ!?
ここで買えるそうめんは、最高級品「モンドセレクション最高金賞」を5年連続で受賞している極細そうめん「白髪」。0.3mmと非常に細いので家族団らんでいただく食べ方ではなく、料亭などで碗ものの実として使用されているそう。
いつものそうめんとして食べたい方には「白龍」の0.6mmがオススメ。
ちなみに、JIS規格では1.3mm 以下をそうめんとしており、それ以上をひやむぎ、うどんと分類。ここでは規格の半分以下のそうめんを作っているというのだから、本当に細い。
■白髪と白竜と普通の麺の太さを比べると…
そうめんは細ければ細いほど高級とされ、技術が向上したといわれている。なぜ、こんなにも細い綿を作ることができるかというと、手延べそうめんという製法に秘密があるらしい。
同じそうめんでも手延べそうめんと、そうめんの違いは麺の伸ばし方が違う。
手延べそうめんは棒に、麺を絡めてだんだんと引き延し細く形成。そうめんは、うどんと同じく生地を平らに伸ばし細く切って麺状にしていく製法なので、あまり細いものは作られない。
3種のそうめんはそれぞれ小麦の種類や配合をかえており、小麦の品種改良によって「細いそうめん」作りの技術は今後も進化していくかもしれない。
ところで、三輪そうめん山本では、手延べそうめん体験も可能。一週間前に予約は必要だが、自分で伸ばした、生麺のそうめんを持ち帰ることができるぞ!
【そうめん処 三輪茶屋】
所在地:奈良県桜井市箸中878
定休日:年末年始
(取材・文/しらべぇ編集部・田村えま)
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