名前で油断したら痛い目に…体に良いけど味は地獄!中国で親しまれる「涼茶」

真夏日が続く中国は広州。日本もこれから本格的な夏を迎えますが、うだるような暑さのなか、目に入るだけ少し癒しを与えてくれる漢字のひとつといえば、「涼」ですね。

香港や広州の街を歩いていると、この素敵な字が入ったお茶と思われる、「涼茶」という看板をよく目にします。

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涼茶…。カンッという氷の音が似合う、まさに涼しげな名前ですね。そんな名前の清涼感に惹かれ、お店に近づいてみると…。“漢方薬”という3文字を想起させるような強烈なニオイが漂ってきます。どうやら涼茶、一筋縄ではいかなそうです。


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■舌が動かなくなるほど…

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店頭に置いてある複数のヤカン。この中に涼茶が入っており、ヤカンの前にはそれぞれの“功能の札”も置かれています。値段は、紙コップで約100円、ペットボトルなら約120円(20円はボトル代)です。

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ヤカンからペットボトルに注がれる涼茶。ボトルを握ってみると、小さな意外性を感じます。温かいのです

「涼」という字から冷たい飲み物を想像してしまうのが人間の性ですが、シェイクスピアが『ロミオとジュリエット』にてバラを例に問うたように、名前というのはすべての意味を表すものではないのかもしれません。

さて、そんな“涼茶”を口元に近づけてみましょう。圧倒的な臭いに耐えながら、ゴクリと一口…。またも、“涼”という漢字からもたらされるイメージが破壊されるほどの衝撃に襲われました。

涼茶という名前どころか、自分の名前を言うこともできなくなるほどの“苦味”が口を支配するのです。苦くて苦くて、舌が動かないという次第ですね。涼茶、やはり一筋縄ではいきません。

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■苦もあれば楽もある!

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涼茶購入時に、一緒に渡された小さな袋がありました。干したミカンの皮のようなものが入っています。「一体これは?」と恐る恐るかじってみると…

ほのかな甘さに続き、柑橘系の爽やかさが口の中に一気に広がりました。それまでの“苦味地獄”から救ってくれる、まさに救世主のような存在です。

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お店の方に話を聞いてみると…

「涼茶は体の調子を整えてくれるけど、とっても苦いでしょ。でも、この“陳皮”を食べれば苦味が解消されるの。うちの陳皮は自家製で体に良いわよ。体の調子を言ってくれれば、それに合った涼茶をお勧めするわ」

にっこりとそう言って、陳皮をもうひと袋オマケしてくれました。優しい心遣いに、心までもが健康になります。


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■え、甘いの??

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広州では、スーパーやレストランなどにも必ずと言っていいほど缶や紙パックの「涼茶」が売られています。あの“苦味地獄”が、一般にも流通しているとは…。こちらも試してみました。

缶を開けてみます。こちらは、強烈な臭いはありません。ほっとした気持ちでゴクリと一口…。油断大敵。またも“涼”のイメージ破壊が待ち受けていました。

今度は、スイーツ好きも降参してしまうような“甘味”に襲われるのです。咳止めシロップを彷彿させるほどの甘さ…。思わず、チェイサーが欲しくなります。


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■体のバランスに大活躍

涼茶とは、漢方に使われる数種類の原料をぐつぐつと煮出したハーブティーのこと。広州や香港では、多くの人が子供の頃からそれこそ「涼しい」顔でごくごくと飲んでいます。体の状態を「陰」と「陽」で考え、そのバランスを保つ方法のひとつとして涼茶が活躍します。

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毎日飲むのは逆にあまり良くないとのことですが、喉の痛みや熱などの症状も緩和させる涼茶。広州・香港においでの際はぜひお試しください。

(文/しらべぇ編集部・ジュンジュン

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Sirabee編集部

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