100人に2人がなる「強迫性障害」 鍵、手洗い…分かっててもやめられない恐怖
2015/04/23 06:00
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「強迫性障害」という病気を聞いたことがありますか? これは、不安障害の一種で、誰もがなる可能性があり、またなっても病気だと気づきにくいという性質の障害です。
■強迫性障害とは?
厚生労働省のサイトでは、強迫性障害について次のように説明しています。(以下、引用)
「『ドアに鍵をかけたかな?』『鍋を火にかけたままかも』と、不安になって家に戻ったという経験は多くの人がしていることでしょう。また、ラッキーナンバーなどの縁起にこだわることもよくあることです。
その不安やこだわりが度を超しているなと感じることはありませんか?戸締まりや火の元を何度も何度もしつこく確認しても安心できなかったり、特定の数字にこだわるあまり生活が不便になったりしている場合は『強迫性障害』かもしれません」
つまり、何かに対して不安を覚えたことで対策を講じる、あるいは、何かにこだわる、という誰もがやることを「やりすぎて」しまう障害といえるでしょう。
この障害のこわいところは、自ら「無意味」「つまらないこと」だと認識していても、そのような「やりすぎ」行為をやめられないことです。また、「自分はそういう性格なんだ」と捉えて精神科を受診しないケースが多々あり、日常生活における「やりすぎ」な行為による不便をそのままにしてしまう人が少なくないようです。
■100人に2人がなっている…
厚労省のサイトでは、
「欧米ではまた、全人口のうち強迫性障害にかかっている人は1、2%、50~100人に一人の割合といわれており、日本でも同じくらいの割合になるとも考えられています」
と、警鐘を鳴らしています。
そこで、しらべぇ編集部で20代から60代の男女1646名を対象に調査を実施したところ、「強迫性障害になったことがある」と回答した人は全体の2.9%。病気であることを踏まえれば、決して少ない数字とはいえないでしょう。
■身に覚えがある…その具体的な症状とは?
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調査では、その具体的な症状について、「強迫性障害になったことがある」と回答したみなさんからフリーアンサーをいただきました。寄せられた声を紹介していきましょう。
「ドアやペットボトルのキャップを気が済むまできつく閉めたり、何度もやり直したりする。周りの人と少し目があっただけで、『自分は変な服装なのかな?』とか、『私の動き方ってそんなに変わってる?』となる」(男性、20代)
「現在も強迫性障害。何度も手洗いしないと気が済まない、確認の回数が多い、数字にこだわりがある、など」(男性、20代)
「扉の施錠や照明の消灯を何度も確かめてしまったり、ビデオやDVDの音声や映像を何度も繰り返して確認してしまう」(男性、40代)
「手を何度も洗ってしまう。メール送信前に何度も確認する。夜中に目が覚めて、電化製品のコンセントを確認する」(女性、20代)
「鍵の確認、不潔恐怖。車の運転中に事故を起こしたのではと気になり、帰宅後にまた戻る」(女性、20代)
「コップの柄で口をつけるところを決めている。地面に模様や色分けがあれば決まった色しか踏んではいけない。公共交通機関の手すりなどに触りたくないと強く感じ、つり革にはつかまらずに立っていた」(女性、20代)
「家を出るとき、戸締りを何度も確認してもまだ大丈夫じゃない気がして、何度も鍵をかけたドアを開けて確認ばかりして、なかなか外出できない」(女性、40代)
「とにかく、人から逃げる場所を常に求めて探し歩いていました。振り返ると、人間そのものが怖くてたまらなかったのです。生きるのがとても辛かった記憶を想い出せます」(女性、60代)
これら症状について、「身に覚えがある」と感じた人もいるのではないでしょうか? 前述したとおり、「強迫性障害」は自分ではなかなか気づきにくい病気です。
ただし、積極的に治療に取り組めば治ることも可能な病気でもあるので、日常生活に支障が出ているようであれば、ためらうことなく一度専門の医療機関を受診してみるべきでしょう。
(文/しらべぇ編集部)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年4月17日~2015年4月20日
対象:全国20代~60代男女計1646名
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