圧巻な幻想的光景に涙があふれる…タイの熱気球あげ祭り「イーペン祭」とは?
2014/09/22 18:00
こんにちは、しらべぇ海外支部です。
世界には、実にさまざまなお祭りがあります。参加者がトマトまみれになるスペインの収穫祭「トマティーナ」や、色付きの粉だらけになるインドの「ホーリー祭」など、“楽しそう”を通り越してちょっとクレイジーに思えてしまうものもたくさん。後片付けがどうなるのか、心配してしまいますよね…。
もちろん、筆者が住むタイにも、日本では見られないようなお祭りがたくさんあります。今回は、そんなタイのお祭りをお伝えしていきたいと思います。第1弾として紹介するのは、コムローイ(熱気球)を一斉にあげるチェンマイのお祭り、イーペン祭(ロイクラトン)です。
まず、ロイクラトンとは……タイで開催される伝統行事のことです。収穫に感謝し、そして水の精霊に感謝し、罪や汚れを水に流して魂を清めるお祭り。各地で灯籠を川に流すのですが、チェンマイではコムローイ(熱気球)を一斉にあげるのです。
何千何万という熱気球の光が空に吸い込まれる様子は、まさに夢の世界のよう。筆者はその美しさに驚愕、感動し、最後は言葉をなくして涙があふれました。その幻想的な光景は、本当に一見の価値ありです。
このイーペン祭、あまりに人気があるため、外国人用に別日程が組まれ、タイ・チェンマイ観光の目玉となっています。そんなに美しいなら是非日本でもやってほしいと思う人が少なくないと思いますが、残念ながら日本では開催できないでしょう…。その理由は3つ。
1:消防法とかどうなってるの?!
開催場所は大学の敷地内なので、かなり広いスペースです。ただしそこは、人であふれかえっています。大勢が集まり、密接した状態でそれぞれが火を使う…。
コムローイの直径は小さいものでも約50センチ。隣の人と譲り合わないと広げられません。その中央のロウに浸した芯に火をつけます。火をつけたコムローイが熱をはらむまでは、頭上で持ったまま待つのです。
充分に温められないままに手を離すと、火のついたコムローイは空に上がらず、斜めになりながら人の頭上に落ちてきます。または、コムローイの紙の部分に引火して火事さながらの状態となります。ですが、バケツの水すらどこにも見当たりません。怖いですね~。
一斉あげとは別に、同じ頃チェンマイの街のど真ん中、川沿いの道という道でもコムローイあげが行われます。普通の街や道路上ですから、あげたコムローイは街路樹や電線、ビルや建物にぶつかります。火がついている紙の灯篭ですよ…。危ないですね~。
また、空に上がったコムローイを花火で狙い打つなど、年々過激さも増しています。日本では考えられないでしょう…。
2:環境問題度外視?! 空に放ったコムローイの行き先はどこ?
コムローイは、紙と竹、トイレットペーパーを輪切りにしてロウに浸け込んだ芯の部分、そしてそれを取り付ける針金で構造されています。
空高く上がった大量のコムローイはどこまで行くのか? 最後はどういう状態になるのか? タイ人に聞いても、わからない、関心がないとのことでした。どこかの村が空から降ってきたコムローイの残骸だらけになっているのでしょうか…? 謎です。
3:道路交通法はない? 長時間に渡る交通麻痺
一斉あげのイベントは1時間程で終了し、今度は人々が道路にあふれます。誘導する警備員や警察の姿もなく、大量の歩行者、そして車やバイクが入り乱れたカオス状態が続くのです。麻痺状態に近いですね…。
以上、日本で開催するには様々な規制や安全対策をクリアする必要があり、実現は難しいでしょう。現地のお祭りは現地で楽しむ。それが良さそうですね。
いろいろな意味で驚かされ、度肝を抜かれるお祭り。様々な危険を冒してでも、目の前で繰り広げられる夢のような光景は是非とも体験して欲しいもの。一生モノの感動に心が震えます。今年の秋のお出かけがまだお決まりでない方は、是非タイ・チェンマイで幻想の世界に身を置いてみてはいかがでしょう?
(文/しらべぇ海外支部・hiroko)