今年CD買ってない人69.7%…SMAP「オレンジ」のような名曲との出会いはなくなる?
2014/09/12 07:00
以前、当サイト・しらべぇでは、「2014年に入ってから音楽CDを1枚も購入していない人の割合」をアンケート調査した記事を掲載しました(2014年6月28日掲載)。ここで改めて、その数字を見てみましょう。
全体の結果は、
・購入していない:69.7%
・購入した:30.3%
となっています。(インターネットリサーチ「Qzoo」、調査期間:2014年5月19日(月)~5月20日(火)、対象:全国20代~60代 男女ユーザー計600名)
筆者もCDを買わなくなった実感はありましたが、実際に「7割の人がCDを買っていない」という結果が出ると驚くものがあります。例えば、電車の中でイヤホンをつけている人の7割が、実はCDを買わずに音楽を聞いているということになるわけです。ほんの数年前から考えても大きな変化ですね。
こうした変化の影響により、音楽CDとともにその存在が“薄くなる”、もしくは“なくなる”かもしれないモノ・言葉が3つあります。今回は、そんな3つについて考えてみましょう。
■隠れた名曲の宝庫「カップリング曲」
シングル曲、タイトル曲のいわば抱き合わせにあたる「カップリング曲」(B面)。聞きたい曲が「シングル曲」だけだったとしてもCDを買う以上どうしてもついてくるのが「カップリング曲」です。シングル曲目当てでCDを買ったら、カップリング曲の方が名曲だった…なんて経験を持つ人は少なくないでしょう。たとえば、SMAPの「オレンジ」、松田聖子の「Sweet Memories」など…。
聞きたい曲だけを検索し、1曲単位でダウンロード購入をするとなると、CDを購入していた時のような「名カップリング曲」との偶然の出会いはなくなってしまうのかもしれませんね。
■歌詞だけではなく世界観も表れている「歌詞カード」
CDケースに必ず入っている歌詞カード。曲を直接ダウンロード購入した場合には、当然ですが歌詞カードは手元に置いておけなくなります。歌詞カードは、単なる歌詞を載せたものではなく、アーティストや曲の世界観を表現したものになることもあります。椎名林檎さんの歌詞カードなどは、デザインも凝っていて、ファンのあいだではそれを見ることも楽しみになっているのです。
ダウンロード購入した人たちが歌詞カードの代わりに利用しているのが歌詞サイト。歌詞検索サービス「歌ネット」によれば、実に23.5%の人が、歌詞“サイト”を歌詞“カード”の代わりに使っているようです。この割合は、今後まだまだ増加していくことが予想されます。
■「レンタル」から「ダウンロード配信」、「ストリーミング配信」へ
「CDを買わないとしたら、レンタルで音楽を楽しむのか?」というと、そういうわけでもないようです。iPod登場以降主流になり始めたダウンロード購入はもちろんのこと、定額制の音楽配信サービスを通して音楽を楽しむ人も増えていくのではないでしょうか。実際に、「Spotify」は有料会員数が1000万人を超え、Amazonが始めた「Prime Music」も注目されているようです。
「CDを買わなくなった」という面だけを見ると、産業としては斜陽になっていくように聞こえます。しかし、CDを買わなくなったとしても「音楽を楽しみたい」という気持ちに変わりはありません。事実として、CDを買わない/DL派の人たちに向けた、かつてないビジネスが生まれています。
「7割の人がCDを買わなくなった」と考えるのではなく、「7割の人が新しい音楽体験を享受している」「7割の人に向けた新しいサービスが生まれ始めている」と考えると、ワクワクすることもできそうですね。
(文/しらべぇ編集部・塩川正樹)