東京で「デング熱」発生!?感染経験者と専門医に聞いた3つの注意ポイント
先日、海外渡航歴のない3人の男女がデング熱に感染、70年ぶりの「国内感染」が確認されたと報じられた。デング熱は、蚊が媒介する熱帯性の伝染病。
今回のケースでは、3人が同時にいた「代々木公園」が感染場所と推測されたため、園内の一部を封鎖して、蚊の駆除が行なわれた。
ちなみに、デング熱の「デング」とは、当たり前だが天狗とは何の関係もなく、英語の「ダンディ」にあたるスペイン語(denguero)が語源という説が有力。強烈な痛みのあまり、歩き方がダンディに見えてしまうからだという。
デングウイルスを運ぶヒトスジシマカ(いわゆる黒と白のヤブ蚊)は、日本では成虫のまま越冬できないため、感染拡大のリスクは低いと報道されている。
とはいえ、どのような症状が出たらデング熱感染を疑えばいいのだろうか。しらべぇ編集部では、実際に海外でデング熱にかかったことがある人を探し出し、話を聞いてみた。
■高熱は出るのに「風邪っぽくない」ときは要注意
【Nさん(39歳・会社員/中米ニカラグアでデング熱に罹患)】
「10年ほど前、青年海外協力隊でニカラグアの田舎に派遣されていたんですが、ある日突然40度を超える高熱が出て、目がすごく充血しました。
インフルエンザかな、と思ったけど、熱は高いのに咳や鼻水など風邪っぽい症状が出ない。解熱剤を飲んでも効かず、現地の人に相談したところ『そりゃデングだな』と。
中米ではマラリアより一般的らしく、高熱が出たらまずデング熱を疑うそうです。一緒に行った協力隊の仲間も2〜3割くらいは感染していました」
■「2回目の感染」で重症化リスクも
「タクシーを飛ばして首都の病院に入院したのですが、医師にまず聞かれたのは『かかるのは2回目か?』ということ。デング熱は免疫の関係で、2回感染すると重症化することが多いらしいんです。
3日間点滴を打たれて退院しましたが、2回目感染が怖いので、その後は蚊対策にかなり気をつけました。でも、隊員の中には再びかかって出血性ショックを起こしちゃう人もいて…。さすがに死亡者は出ませんでしたが」
■疑わしいときは「血液検査のできる病院」へ
一方、都内大学病院に勤める感染症専門医によると、
「40度近い発熱に頭痛や関節痛を伴うこともあり、発熱から5日程で発疹が出ます。疑ったら、血液検査のできる病院に行って下さい。白血球や血小板が下がりますが、極端に血小板が下がると出血傾向を呈し、ショックに至ることもあります。
治療は解熱剤と、必要であれば補液(点滴)。血小板低下がひどい場合は輸血することもあります。
日本で死に至ることはほとんどありませんが、インドネシアやフィリピンなどの多発地帯では死者も出ており、速やかに医療機関を受診することが重要。
熱がある間は血液中にウイルスがいるため、蚊を介して他の人に感染する危険もあり、復職するのは熱が下がってからにしましょう」
とのこと。人の多い都心部での感染が疑われるだけに心配もつのるが、初回感染であればリスクは限定的。ただし、野外で過ごした後に「風邪っぽくない高熱」が出た場合は疑ってみてもいいかもしれない。
(取材・文/しらべぇ主筆・タカハシマコト)
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